同じ一瞬はないから 薬学生実務実習(35)

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(自然も人も同じ一瞬は、ない。自作もできない。「そこで何があったのか?」シーンをカットしよう)

 さて、

これから実習に向かう薬学生のために、実習を経験した私たちがつくる

『こうすれば、患者さんの症例へ接したときのアプローチの仕方』提案集をつくる!

 という、チームゴールで、テーマを出しあった翌日のこと。

 1人の学生から、「テーマを変更したいんです」という相談がありました。

「水疱性類天疱瘡の症例は、治療方法を検討することが、とてもたいへんでした。そして、やりがいがありました。薬局には、この治療のテキストがなく、ガイドラインも調べましたが、ありませんでした。PubMedを調べても、いい文献がなく、Googleを調べたら、いくつかヒットしました。ちょうど大学の先生から、文献検索を習ったところで、その文献からキーワードを拾って、治療方法を確認しました。そのことをテーマにしたいです。」

 という主旨でした。

 学生のノートには、「アカデミック的」というメモ書きがあります。

 うん。

 気持ちは、とてもわかる。

 それに、がんばって検索したことを、私も認めている。

そして、私は、こう話しました。

「とても興味深いですね。

 水疱性類天疱瘡の治療は、薬も適応外ですし、文献を探すのも大変だったでしょう。

 そこまでチャレンジしたことは、まず、すごいな、と感心しています。

 でも、文献検索は、大学や図書室、インターネットがあれば、

 できたことかも知れませんね。

 どうでしょう?

 患者さんやスタッフとの関わりのなかで学べること。

 この病院にいないとできないことは、何だろう?

 水疱性類天疱瘡の皮疹の記録がカルテに書いていなくて、とても困った。

 この場面は、とても興味深いと思うのだけれど」

 それでも、学生は、困った様子です。

 つづけて、私はこう質問を続けました。

「では、もう1度その場面について、私に話しかけてくれますか?

<私の問いかけ> <学生の言葉>
カルテは、どのくらいの期間見ていたの? 2週間
2週間!ずっとカルテを見ていて、皮疹の記載が見つからなかった? そうです
どんな気持ちでした? いやー、困ったなーと。いろいろな単語も調べました
それで? いよいよ症例発表の〆切が近くなって、担当薬剤師さんに相談したら「看護師さんに聞いたらいいんじゃない?」と
ほう、どうして薬剤師は看護師に聞いたら?といったのだろう? ん・・・。
それで? それで、病棟にいってみました。
何かを持っていた?手ぶら? いえ、患者さんのカルテを持っていきました
それはどうして? 患者さんのことを聞くから。
患者さんの何を? 皮疹について。カルテに書いてあるかも知れないし
それで、看護師さんは誰を選んだの? 誰というと?
看護師長さん?、主任さん?、部屋担当の看護師さん?、それとも暇そうな看護師さん? ・・・んー、ちょっと覚えていないです
それもあとで確認しましょう。で、何時頃に聞いたの? 夕方過ぎかな?
看護師さんが対応しやすい時間? あっ。そうか、そういうのも。
看護師さんにどうやって近寄ったの? えー、そういうのも?
そうですよ。どんな気持ちで? 緊張しました。でも、ちゃんと自己紹介して・・・。
看護師さんはどうでした? それが、最初から患者さんを受け持っていた看護師さんで、皮疹のことを最初から最後まで全部話をしてくれました
全部?。それで? 頼んでいないのに、病室まで連れていってくれて、患者さんにお願いをして、もう一度皮疹を見させてくれた
どうだった 身体の右半分がこうで、左半分がこうで・・・。
それ、手書きで図に書いた? あっ・・・。

(つづく・・・)

 場面を想起できるように、1秒も逃さないよう、シーンをカットして尋ねました。

 

 学生の顔色が、少し明るくなります。

気づき)

 ・私は学生に、何をしようとしたのか。

 ・何に気をつけて、問いかけていたのか。

 ・週末に考えて、つづきは次週に。

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