秩序と関わり

f:id:MotoNesu:20090102125204j:image

 年末らしい、貴重な白い時間。考える時間があることは、幸せだ。1年をふりかえって、どうも「うまくいかなかったな」と正直に告白するなら、秩序と関わりについてだ。

・会議で一度決めたことは、引き戻さない

・自分で提案をしてこない人に、こちらから歩み寄らない

・組織の上司部下のラインを絶対にくずさない

 堅さを感じる。そして、態度を貫いても、結局事態はかわらなかった、という、うまくいかないことの数々。

 秩序と関わり。

 つまり、秩序の選択よりも関わりの方が、うまくいくこともあるのではないか?。秩序はコールバーグのいうように、段階。理路整然。一方関わりは、ギリガンがいうように、大切であるが、その先はわからない。

 わかるかな?男性に。

 わかるのかな?女性には。

 コールバーグの道徳性発達の6段階

 Lawrence Kohlberg’s stages of moral development

 自分で決めて進むことで、違う世界に入っていく。自分で進みながら育っている。他律のなかで生きていきたくなく、制度をいいわけにしない。

・段階は不変的な連続性を示す。

・全ての子どもは6つの段階の1つづつ登っていき、段階0から2に飛び越えて発達することはできない。

・あらゆる条件下で段階の移行は前進的であり、後退はない。

・どの文化圏の子どもであってもその発達順序には違いはない。

・しかし、全ての子どもが段階6まで進むわけではない。

・段階は、階層的に統合されている。段階3は段階2を包含し、いずれは段階4に包含される。

・低次の段階で思考するより、可能な高い段階で思考することを好むという、階層的順序がある。

0段階:「欲求希求志向」

 自己の欲求や願望が満たされた状態が正しく善であり、自己が不快で苦痛な状態は悪いことで、良くない。  例)自分の好きなジュースを飲む子は良い子で、自分の嫌いな牛乳を飲む子は悪い子なのである。

 

1段階:「罰回避と従順志向」

 正しさの基準は自分の外にあって、他律的である。親や先生の言うとおりにすることが大切。

 例)オモチャを手放すのはお母さんの指示に従ったまでで、親切心や仲良くしたいからではない。母親がただ怖いからである。

 

2段階:「道具的互恵、快楽主義」

 自分にとって得か損かの勘定が正しさの基準になる。

 例)将来助けてもらうかもしれない、自然に助けられたことがある、等の理由から援助が行われる。

 

3段階:「他者への同調、よい子志向」

 集団に属し、よりよい人間関係を維持しようと気配りし、立ち振る舞う。

 良い子であることが習慣的に意味を持ち、正しさの基準となる。

 良心の 内面化が進み、罪悪感が行動を規制する。

 人からの賞賛を求めたり、叱責や恥を避けることが援助の理由となる。

 例)「自分がしてほしいと思うことを他人にもせよ(黄金律)が適用されるようになる。」

 

4段階:「法と秩序の維持」

 社会の構成員の一人として社会の秩序や法律を守るという義務の履行。

 例)国家や地域社会に積極的に貢献し、決まりに従って義務を果たし、社会のために自分の役割を果たすことである。

 

5段階:「社会契約、法律の尊重、及び個人の権利志向」

 道徳的な価値の基準が個人をして自律化し、原則的になる。

 個人の権利が尊重されているか、社会的公平であるかどうかが問題となる。

 例)困っている人はそれだけで援助を受けるに値するという認識がある。

 

6段階:「良心または普遍的、原理的原則への志向」

 すべての人間としての権利や価値を平等に尊重するという人間の尊厳の尊重が正しさの基準。(普遍的な倫理的な原則を持つ。)「正義」と「慈愛」の原理が相互に支持し合い、調和する。

 例)キリスト、ソクラテス、仏陀、孔子、リンカーン、キング牧師などを挙げている。

 

1970年代に一世を風靡したコールバーグの道徳性発達理論だが、後にキャロル・ギリガンがこれを批判。ギリガンは、コールバーグの理論は男性的な「正義の倫理」という観点に偏りすぎており、もっと女性的な立場から「他者へのケアの倫理」にも目を向けるべきだと主張。

 一例として、ギリガンは11歳から15歳のアメリカの子どもたちに次のようなお話をした。

 

『ヤマアラシとモグラの家族』

 厳しい寒さをしのぐため、一匹のヤマアラシがモグラの家族に冬の間だけ一緒に洞穴の中にいさせてほしいとお願いしました。モグラたちはヤマアラシのお願いを聞き入れてくれました。けれども、その洞穴はとても狭かったので、ヤマアラシが洞穴の中を動き回るたびに、モグラたちはヤマアラシの針に引っ掻かれてしまうことになったのです。ついにモグラたちはヤマアラシに洞穴から出て行ってくれるようにとお願いしました。ですが、ヤマアラシはこのお願いを断りました。そして言ったのです。

「ここにいるのが嫌なんだったら、君たちが出て行けばいいじゃないか。」

 この話をすると・・・

男の子たち→「その洞穴はモグラのお家なんだ。ヤマアラシが出て行くべきだ」

女の子たち→「ヤマアラシの身体を毛布で覆ってあげたらいいのよ(みんなが幸せで快適になれるような解決法を探す)」

 ケアの倫理の発達段階、キャロル・ギリガン

 つまり、男性は「正義、自立」で、女性は「他者との関係性」を重視する。他者との関係性を重視することは、コールスバーグの理論では「3段階:他者への同調、よい子志向」に位置づけられてしまい、法や秩序よりも下位になってしまう。ギリガンは、他者へのケアは道徳性発達において大変重要な要素になっていると考えており、このような「ケアの倫理」という観点から見ると、男性は低い道徳性発達しか果たしていないということになるだろうと主張。

 実際には、「正義の倫理」と「ケアの倫理」の両方を用いているのかもしれません。

誰かが喜ぶと自分にもご褒美になる

(Visited 157 times, 1 visits today)

コメント

タイトルとURLをコピーしました