日頃読み+Impact Factor

東京Y字路

東京Y字路

 横尾忠則さんのTokyo Y Junction。見慣れたY字路はパターンではなく、そこから個が浮き出す。パターン化しておいたものから、とびきりを引き出すことは、一手だと思う。パターンに対して、脳は簡単に「飽きた」といいそうだが、パターンを繰り返しているなかに、別のものを見る力も人は持っていると思う、ということだ。

 現場の課題に対して、私たちはアタックの日々だが、事前に勉強しておくことは何か、事前にいつ勉強するのか、事前勉強はどのくらい効果があるのか、検討しただろうか。

 理科大の医薬品評価学の嶋田先生が、「題目だけでもいいから、ジャーナルを読んだ方がいい」とおっしゃっていたことを思い出す。このススメが50%、その方がいいだろうなという思い50%で、ジャーナル読みを続けている。

 嶋田先生は、そのジャーナルを選択する基準に、インパクトファクターを用いられた。以下の8ジャーナル。

N Engl J Med(50.0)

Lancet(28.4)

JAMA(31.7)

Ann Intern Med(17.5)

BMJ(12.8)

Clin Pharmacol Ther(7.6)

Br J Clin Pharmacol(3.1)

Eur J Clin Pharmacol(2.8)

 ふむ。

 そのことに意味があるのか?、は経験をして肌身を待つしかない。もちろん、すべてが自分の病院で役に立つ論文ばかりではない。80%くらいは、役に立つことに直結しない。退屈なパターン。しかし、それこそそれでいい。日頃読み+Impact Factor。

 当たり前(ordinary)な姿勢が、格別(extraordinary)につながるように。

メモ)インパクトファクターについて

Journal Citation ReportsのQ&A

http://www.thomsonscientific.jp/products/jcr/support/faq/より)

■インパクトファクターとは何ですか?

 特定の1年間において、ある特定雑誌に掲載された論文が平均的にどれくらい頻繁に引用されているかを示す尺度。一般に、その分野における雑誌の影響度を表す。Journal Citation Reports®が提供している。

■何に役立つのか?

  雑誌の影響度を表すインパクトファクターは、同じ研究分野の雑誌どうしを相対的に比較する際に役立つ。

例)図書館員:購読雑誌選定や蔵書構築、保存年数の決定など、研究者:投稿誌の選定など、出版社:雑誌の影響度調査、編集方針の見直しなど

■インパクトファクターの計算方法は?

A=2003年、2004年に雑誌Pに掲載された論文が2005年中に引用された回数

B= 2003年、2004年に雑誌Pが掲載した論文の数

雑誌Pの2005年のインパクトファクター=A/B

 ジャーナルあたりの平均被引用数を出版後の経過年数ごとに見ると、分野による違いはあるものの、出版されてから

3年前後で被引用のピークを迎え、4年目以降は徐々に引用されなくなるという論文のライフサイクルが観察されるため、3年分で計算する。

■どこで閲覧できるのか?

 インパクトファクターは、Journal Citation Reports®データベースに収録されている指標のひとつで、このデータベースを契約している大学・研究機関等で閲覧できる。無料配布はしていない。

ほか)

・発案者Garfield氏のコメントは、科学の相反性という点で深い。

「私は1955年に最初に雑誌「Science」においてインパクトファクターのアイデアについて言及した。1955年時点では「インパクト」というものがいつの日か大きな論議を巻き起こすものになるとは思い及ばなかった。インパクトファクターは原子力のように有難いようなありがたくないような存在となっている。誤った方法で乱用されるかもしれないという認識はあったが、その一方で私はインパクトファクターが建設的に用いられることを期待した。」

・「私のインパクトファクターはいくつ?」という問いは、典型的なインパクトファクターへの無理解。あべし。

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