「勝つ見込みのない戦いは、しないほうがいいよ」と言われたのは、いつのころか。
たしかに、負け戦にはそもそも参戦せずに、避けることもできるようになりました。勝ちがつづけば、何だか、自分はよくできているような気にもなります。
でも、何か物足りないような。
むかしは、負けばかり。知識も経験もなく、ただ愚直にトライを続けてきたので、苦労あり、まわり道あり、多くの時間もかけてきました。
それでも、失敗からは、それ以上の手応えもつかんできたような気がします。手応えなんて言えるようになったのは、いまの自分が大丈夫で、あとになってからの感慨でしかないのかも知れませんね。
もしも、チームや組織を率いているなら、勝つ必要があります。勝つ見込みがない戦いに、メンバーを巻き込むことは避けたい。
昨日読んだ小林多喜二の蟹工船には、こんな一節があります。
蟹工船, 小林多喜二, 1929年「大丈夫だよ。それに不思議に誰だって、ビクビクしていないしな。皆、畜生!って気でいる」「本当のことを言えば、そんな先の成算なんて、どうでもいいんだ。――死ぬか、生きるか、だからな」「ん、もう一回だ!」そして、彼等は、立ち上った。――もう一度!
蟹漁の過酷な労働のなか、その労働者たちが団結に目覚ていきます。冷凍保存をする技術はなく、蟹は船上で缶詰になり、蟹工船とは「工船」であるから航海法は適用されず、同時に工場でもないから工場法も適用されません。経済特区のような空間で、資本家はリスクなく、搾取し放題となるわけです。
成算なき声の力強さ。
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