ねぇ、今年読んだ小説で、なにが面白かった?

年末に、実家でお節の準備をしながら、理工学部2年の甥から「ねぇ、今年読んだ小説でなにが面白かった?」と聞かれた。

さて。

たしか、彼が初めて買った本は小池百合子の「女帝」だったはず。すごい選択だし、感想は「小池百合子すげえ」だったはずだ。

とにかく、さらに読書を続けていることは、素晴らしい。

そして、こんな私にオススメ本を聞いてくれることは、私にとってうれしい。

これまで、患者会や病院図書室の司書から、おススメ本を紹介する記事の依頼をたくさん受けてきた。

仕事でも、プライベートでも、おススメ本をリクエストされたときには、緊張する。

読んでよかったと思えるように、期待に応えたいプレッシャーが湧いてくるから。「期待に応えたい」プレッシャーは、いつでも私の強みであり、弱点でもある。

さて。

彼のリクエストは「今年読んだ小説でなにが面白かった?」だ。つまり、私が2021年に読んで面白かった小説を教えてほしい、ということだ。

すかさず、角田光代の「対岸の彼女」をススめた。これしかない。

「Kindleで読んじゃから、貸せなくてごめん」というと、彼は手元のiPhoneで、Amazonを開き、緑色をベースにした少し青みかかった表紙を見せて「大丈夫、おれもKindleか、中古を買うから」と、頼もしい返事。

そもそも、彼は、まだ結婚もしていないし、子供もいない。この小説がフィットするかは、わからない。ただ、女性の気持ちがこんなに繊細なのか、と思い知るには、とてもよい読書経験になるはずだ。

私も、もっとはやく読んでいればよかった。家庭やら、職場やら、女性とのあれこれの難所を思い出す。

実生活で、相手の感情はわからない。ただ、この小説を読めば、男性はとくに女性は自分とは違う繊細な感情がある、ということは、自覚できる。

どうかな。

読んでよかったら、きっと彼は、私に感想を伝えてくれるはずだ。

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