私は、私にボールペンを贈ることにした

table flower
前の病院を辞めるときに、放射線科の技師長からケースに入ったボールペンをいただきました。
高級ボールペンを使う習慣がなかったわたしは、新しい勤務先のデスクの引き出しに、そっと、そのボールペンをしまっておきました。

数年がすぎて、書類にサインをしたり、シャープペンシルではなく、消えないインクで手書きする書類が増えるにつれて、ちゃんとしたペンで書きたいと思うように。

引き出しのなかで眠っていたボールペンは、この時を待っていたかのように、私のために働いてくれました。このボールペンを手にすると、ちょっと姿勢がよくなり、しっかり思考して、ちゃんとした文字を書こうと思うようになったのです。つねに向学心に溢れる先輩に、いつも見られてにるような気がしたから…。

贈られたボールペンは、手にしたときに贈り主のことを思い出します。いつでも、その人からのメッセージを、手を通じて感じ受けることができるもの。

この4月からはさらなる未知のことにもやりきることが、求められている気がします。私のやり方を芸風として手にするためにも、私は、私にボールペンを贈ることにした。

もとねすメモ)ボールペンではなく、万年筆にしようと思ったのですが、まずは自分にボールペンです。


人生、最後に勝つのはどれだけ「やったか」です。どれだけ「もらったか」ではありません

(植松努『NASAより宇宙に近い町工場』)

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