20100416 病院薬剤師のためのライフハック43)ギャップタイム

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 欧州では、ギャップ・イヤーGap yearという、学生が入試から入学前に自由に過ごす時間を制度として社会が取り入れているらしい。アルバイトをするも、観光するも、勉強するもよし、という時間を社会が認めているということだ。

 一方、日本のいまの就職の困難さで、10代、20代のみんなは、どう過ごしているのか?思い巡らしてしまう。社会が制度として認めているギャップ・イヤーと、就職したくても就職できない、就職したいのか、わからない、時間。

 自分の時間。体が別物に思えるような、あの時間。

 ふと、就職するまでに1年間フリーな時間があったことを思い出す。あの身の重さが今の自分のように思えてしまう。今の自分が嘘の自分に思えてしまうくらい、実の感触はあちらにある。

 春を過ぎ、大学院に進んだ友人、就職をした連中、新しい仕事と新しい人間関係、そして桜。友人もやることもなくなった私は、はじめて、時間があまることの辛さを知った。

 

 膨大な一人の時間。

 私は読書をした。なぜ、それをはじめたのか、そこは思い出せない。嫌いだった読書。しかし、それしかなかったのだ。

 はじめて面白い、と思ったのは、恥ずかしくも20歳を過ぎたこの頃だ。「芥川の全集を買った」という高校時代の友人がみょうに格好良く、まねをして、何人かの全集を読み切った(お金はなかったので借りた)。

 本の中の経験は、やがて、実際の私の経験にも影響を与えはじめた。物語の持つ予定調和は、人生という不確実性に、いつかは大丈夫、という迷信のような暗示を私にくれたのだった。

 これが、私の空白の時間に得た大きな意義だったのかも知れない。むしろ意義はなくてもいい。空白の重い時間を選択するということが意義だ。

 声をかけてくれる人のありがたさや、小さな一言の大きさが拡声器のように響く、実感の時間。ギャップ・イヤー。

「踊るんだよ」

「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度足が停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう」 「でも踊るしかないんだよ」「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」 オドルンダヨ。オンガクノツヅクカギリ。

 2度目のギャップイヤーが、欲しい。

 何もない時間をつくるギャップタイム。

 何もない1日をつくるギャップデー。

 工夫次第。

これから)ランニング、週次レビュー。

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