白衣のポケットに本当に入ってしまう「ポケット医薬品集 2013」が、白文舎より2013年1月末に復刻するとのことです。オリジナルの評価とチェックしておきたいポイントが、絶妙のバランスで記載されており、薬剤師だけでなく、医師、看護師ほか、学生にも大絶賛だった1冊です。
便利な一方で、医薬品情報について十分に調べずに「ポケット医薬品集」だけで、終わらせてしまう医師や薬剤師もおり、いかがなものか?、というご意見もありました。
1.事実と意見の区別
『理科系の作文技術』(木下是雄)でも強調されているように、事実と意見を区別することは、あらゆるコミュニケーション場面の基本です。医薬品情報なら、それはデータとして事実なのか、あなたの意見なのか「ポケット医薬品集」のコメントなのか?、区別する必要があります。
2.あなたなら、どうする?
EBMを実践するとすぐに求められるのは、内的妥当性が確認された論文を目の前の患者さんに当てはめたときに、「あなたなら、どうする?」という個別の判断です。その場合の情報源は、総説や概論といった二次情報よりも、一次情報である論文そのものがよいとされています。
一方で、二次情報は妥当性をチェックすることそのものがより高度で、編纂した人のバイアスが混ざっているかも知れません。二次資料を使うなら、最新情報に更新され、引用文献も紹介されている「Up To Date」や「Cochrane Library」などが勧められています。ましてや、ポケット医薬品集は「執筆方針に規則がないことが規則」なのですから!
3.「ポケット医薬品集」で終わらないために
とはいえ、「ポケット医薬品集」は、すばらしいのです。臨床現場で最低限チェックしたいことが、バランスよく記載されていますから…。その場での電話応対は、たいてい切り抜けられます。まさに切り抜けるための「ベストあんちょこ」であり、これが、正当な使い道です。そして、ポケット医薬品集で終わらない人になるためには「その情報は、本当か?」、「患者さんの問題が解決されたか?」、「分類して、比較して、推論できたか?」を問うことだと思います。
問わなければ、ポケット医薬品集で、終わる
問うてみれば、ポケット医薬品集から、はじめられる
気づき)東大の澤田康文教授が共著者として参加されているようです。出来上がりが楽しみです。
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