糖尿病性神経障害(PDN)の治療に、デュロキセチンを使いたいな、と医師から相談がありました。適応はあるけれど、どのくらいの効果があるのだろう?
↓ こちらの論文を読んでみました(Open Access)
Duloxetine for painful diabetic neuropathy and fibromyalgia pain:
systematic review of randomised trials
Sultan et al. BMC Neurology 2008 8:29 doi:10.1186/1471-2377-8-29
デュロキセチンのPDN50%の部分寛解は、NNT5.1。別のスタディでは、アミトリプチリンでNNT3.2、イミプラミンでNNT1.1との報告もあります。しばらくは、症例限定での評価を提案することに。
デュロキセチンのPDN50%の部分寛解は、NNT5.1でした。2008年までのPDNの論文について、システマティックレビューをした結果で、12〜13週目でプラセボ比較で、投与量は60mg(それ以上増量しても、NNTには、それほど影響しない)。一方で、NNH15なので、吐き気、眠気、便秘などの副作用には注意ですね。
考察で紹介されている別のスタディ(Saarto T, Wiffen PJ: Antidepressants for neuropathic pain.
Cochrane Database Syst Rev 2007, 4:CD005454.)では、アミトリプチリンでNNT3.2、イミプラミンでNNT1.1との報告もあります。直接比較ではありませんので参考まで。研究の量と質が限定的と吟味されていて、日本では適応外。
しばらくは、症例限定で評価を提案することに。アミトリプチリンとイミプラミンのNNTの低さから効果がより期待できるものの、少ない使用経験から決定的という感覚がないので、デュロキセチンについても期待はできるものの、NNTの数値だけで判断は難しい。適応のある薬剤で無効な場合というプロトコルを提案することに。
気づき)忘れていたのですが、この論文はブログをスタートした2009年1月に紹介していた論文です。そして、2012年6月のEBM勉強会で取り上げられていたなんて、奇遇です。
デュロキセチン(SNRI)が糖尿病性末梢神経障害と線維筋痛症を改善して、腹圧性尿失禁症状にも効果があるかもしれない、って?
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