現在とは厳密には時間のかけらではなく、永遠のかけらである。
(「不安の概念」キェルケゴール)
「これほど医療技術が進んだ日本で、全国の先生たちがミスをしたんです。これには、何か問題があるといわざるをえない。」
薬害イレッサ原告の近澤昭雄さんのコメントです。
2011 年 11 月 19 日(土)の「第 13 回薬害根絶フォーラム」(主催:全国薬害被害者団体連絡協議会、協賛:日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、医薬品医療機器総合機構ほか)に参加。薬害根絶フォーラムには、サリドマイド、MMR、スモン、HIV、筋萎縮症、肝炎、陣痛促進剤、ヤコブほか、多くの薬害被害者の方々が集まります。
薬害イレッサ訴訟の東京高裁判決に対しての、原告弁護団の反論メモ。
1)無視された予防原則
「(判決書25頁)原審判決が認定した承認前の副作用症例について、ことごとく、「因果関係を否定できない症例」に過ぎず、「因果関係がある」とまでは認められない」。これまでは、予防原則にもとづき、因果関係が否定できない以上は副作用と扱い、企業や国に安全対策をとることを求めてきました。しかし、この東京高裁判決は、この「予防原則(Precautionary Principle)」あるいは「予防的措置(Precautionary Approach )」を完全に無視した判決、という反論
2)添付文書の記載が不十分
「(判決書42,48頁)「本件添付文書第1版ないし第3版に基づいてイレッサを処方する医師は、がん専門医又は係る抗癌治療医であるものといえるという前提に立って、専門医であれば、初版添付文書の記載で間質性肺炎の致死的危険性を理解しえたとした。」ふむ。たしかに、添付文書の最初に書かなければ、注意したことにならないとは、医者をなめとるのか!、という医師もいました。原告側の主張は、「ソリブジン事件の教訓と、それによる添付文書の記載要項改訂を無視していており、結局は、医療現場に責任を転嫁している」という反論。
3)最高裁の判決前に、自分で考えよう!
イレッサの訴訟は、2002年の発売依頼、もう9年。次の裁判の判決は、大阪高裁です。そして、「疑い例であってもこれだけ副作用による死亡例がでているなら違法だろう」という見解を、最後に最高裁は示すのでしょうか?
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気づき)
・裁判は、製薬会社と厚生労働省を被告としています。医療従事者の責任は?
・本当に患者さんにとって、納得のできる医療をつくるために
・いまさら「和解」という解決は、ないのでしょうか?
- 作者: キェルケゴール,斎藤信治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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