薬害を覚悟する本23)イレッサ訴訟の課題1つ

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 4月12日に最高裁判所は、薬害イレッサ東日本訴訟について、アストラゼネカ社の法的責任を否定する判決を言い渡しました。同日、西日本訴訟に対しても同様の決定をしました。先の最高裁判所の国に対する上告棄却判定とあわせ、国と企業の責任を否定する判決が確定しています。

 原告弁護団から「この訴訟どう?」と当初、聞かれたときに、抗がん剤は副作用救済基金の対象とならないし、難しいのではないか、と正直に話をしました。

 一方で、販売後わずか半年で180人のがん患者が死亡し、2年半で557人が死亡している事実は何なのか、という思いもありました。ちょうど、 糖尿病治療薬「ビクトーザ皮下注18mg」の安全性速報(ブルーレター)を手にしながら、薬害とは、国と製薬会社による社会的人災タイプと、医療従事者側が安易さ、不勉強や不注意から発生する2つのタイプがあるのだろうな、整理をしていました。

 さて、このイレッサ訴訟に残された課題の1つ。

 最高裁の判決では、イレッサ添付文書に欠陥がないとしています。一方で、販売後わずか3ケ月で警告欄を設ける添付文書改訂がされており、致死的な間質性肺炎の副作用が社会問題となるなか、副作用死亡者が年間30名前後と激減した事実を説明できない、ということです。

 つまり、東京地裁判決の「医師1~2人が読み誤ったというのであればともかく、多くの医師が読み誤ったと考えられる時には、医師に対する情報提供の方法が不十分であったとみるべきである」という指摘こそ正しいのではないか、という余地です。

気づき) 最高裁判決が出る前に出版された「イレッサ薬害―判決で真実は明かされたのか」を拝読しながら、もう一度、この訴訟が何だったのか、私も勉強しようと思います。

イレッサ薬害―判決で真実は明かされたのか


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コメント

  1. 藤村眞樹子 より:

    初めまして。

    徘徊しておりましたら、こちらにたどり着きました。
    薬に興味がありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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