ですからもしもこの天の川がほんとうに川だと考えるなら、
その一つ一つの小さな星はみんなその川のそこの砂や砂利の粒にもあたるわけです。
またこれを巨きな乳の流れと考えるならもっと天の川とよく似ています。
(『銀河鉄道の夜』宮沢賢治)
Project Based Learning 、学生とプロジェクトに取り組んでします。
「テーマ」の設定が本当に肝(きも)だな、と感じています。
たとえば、製薬会社の医薬品情報室に電話で質問をした学生は、このことをテーマに選びました。
最初、彼女がもってきたテーマは、「電話で的確に質問をする方法」。
これでは、テーマの切り口が甘い。なぜ?
テーマが一般的すぎますね。誰に、何の質問をするのか不明。そして、たぶん提案される解決策は、オリジナリティに欠け、面白くない。たぶん何か本から引用してきて終わり、なんだろうな。
つまり、何を解決しようとしているのかわからないテーマは、だめ。
何にでも使えるテーマは、何にも使えない。
そして「具体的に、その電話の場面って、どんなだったの?」と学生に聞いてみた・・・
すると、配合変化のデータが欲しかったのだが、何を聞こうとしたのか途中で見失い、時間がかかった割には、欲しいデータは結局わからなかったという。わからなかったというのは、データがないのか、あるけれどもらえなかったのか、もわからない。
本人に、そのやりとりに対して、自分に自分でアドバイスをするように、導いてみた。
「そのときの自分に何て、アドバイスする?」
そして、できたテーマは、これ、
「製薬会社の担当者に、医薬品情報について質問をするときに最適な方法を3つ提案します」
最初の「電話で的確に質問をする方法」より、ぜんぜん期待ができる。それは、このテーマを見れば、実際に使える方法がいただけそう、という読む人への期待。そして、「やってみよう!」という気概。何より、やればできる具体的なアドバイスが、盛り込まれていますね。もう1つ深堀りするなら「医薬品情報」って何?という質問がいいでしょう。
もしも、松下幸之助のようなポジションの方なら、「電話で的確に質問をするには?」というテーマは、問うに値するかも知れません。書き手のポジションサイズにテーマが限定されてこそ、原因と結果から、適切な対応が提案されます。
気づき)
・11週間、学びの連続です
・「薬学生のプロジェクト学習ワークブック」を仕込んでおこう
・自分にも、学生にも
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社/メーカー: 新潮社
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