父は私によく「人より早く出なさい」と、言っていました。
遅い時間に仕入れに行ったら、良いうなぎが手に入らなくなるからです。
(『生涯うなぎ職人』金本兼次郎)
循環器疾患のないCOPDの患者さんに、β遮断薬が死亡率を改善した報告があったのは、昨年のこと。
β-Blockers May Reduce Mortality and Risk of Exacerbations in Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease.Arch Intern Med. 2010;170(10):880-887.
循環器疾患のある場合はどう?、と気にかけていたところ、BMJですでに報告がされていました。
Effect of beta blockers in treatment of chronic obstructive pulmonary disease: a retrospective cohort study.
BMJ. 2011 May 10;342:d2549. doi: 10.1136/bmj.d2549.
*全文が読めます。
JAMAのユーザーズガイドで、ざっと吟味。
<研究の結果は妥当か?>
割り付けはランダムか? | No、(後ろ向きコホートRetrospective cohort study ) |
経過観察は完全か? | Yes(平均4.35年) |
ランダム化された群として解析されたか? | No |
患者、調査者、医師は盲検か? | No |
開始時に患者群は同等か? | Yes |
介入以外に、同様に治療されたか? | Yes |
<結果は何か?>
治療効果はどのくらいか? | 全死亡率の減少22% |
治療効果の推定値はどの程度の精度か? | 95% confidence interval 0.67 to 0.92) |
<患者の診療に役立つか?>>
自分の診療に適用できるか? | Yes |
意義のあるアウトカムが検討されているか? | Yes(死亡率で評価されている) |
副作用やコストに見合うか? | Yes(呼吸機能への影響もみられない) |
<担当薬剤師と検討しよう!>
患者さんによっては、COPDにβ遮断薬の選択を試みる価値があるかも知れない
・機序は、COPDの閉塞障害が気管支の攣縮ではなく、炎症と気道リモデリングによるものか?
・carvedilol(アーチスト、非選択性)、metoprolol(ロプレソール、β1選択性)、bisoprolol(メインロール、β1選択性)
・「後ろ向きコホートRetrospective cohort study」の問題点は?
気づき)
・COPDにβ遮断薬の処方は、まだ見たことがありません…(相談も、まだない)
・一方で、循環器の医師にとっては、遅すぎる論文なのでしょうか?(不明)
・BMJのTwitterコメントでも、この論文は900を超える書き込みで盛り上がっていますね。
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