日常の仕事以外の仕事を自ら課しつづけるということが、
本当の意味で「壮にして学べば、即ち老いて衰えず」なのであろう。
(「知的余生の方法」渡部昇一)
看護学生から質問をいただきましたので、ひとりEBM。
質問
「ベンゾジアゼピンの服用して車の運転はダメ」らしいですけれど、本当ですか?
P | 成人で |
E | ベンゾジアゼピンの投与をすると |
C | ベンゾジアゼピンの投与をしない場合と比べて |
O | 交通事故が増加するか? |
そのままPubmedで、検索をします。
検索式:#1Search Benzodiazepine Traffic Accidents 174件
このうちFree Full Text (24)で、Publication Typeを選ばずに、最新号のClin Pharmacol Ther.を選択しました。(ちょっと荒いなー。)
参考文献
Orriols L, Philip P, Moore N, Castot A, Gadegbeku B, Delorme B, Mallaret M,Lagarde E. Benzodiazepine-like hypnotics and the associated risk of road traffic accidents. Clin Pharmacol Ther. 2011 Apr;89(4):595-601.
*全文が読めます。http://www.nature.com/clpt/journal/v89/n4/full/clpt20113a.html
ざっと、吟味。
<結果は妥当か?第1の基準>
研究デザイン | 症例対照研究 |
明確に特定できる比較群があるか? | YES |
アウトカムに影響する重要な因子を検討しているか? | YES |
暴露とアウトカムは同じ方法で測定されているか? | YES |
経過観察は十分に長く、完全か? | (不明) |
<結果は妥当か?第2の基準>
暴露と害の時間的関係は正しいか? | YES |
量-反応関係があるか? | 不明 |
<結果は何か?>
暴露とアウトカムの関連性はどれだけ強いか? | オッズ比1.5~2.5でやや強い |
リスクの値の精度はどの程度か? | 95%信頼区間のため高い |
<臨床に意味があるか?>
結果を臨床に適応できるか? | YES |
リスクはどの程度大きいか? | マイスリーは10mg以上の投与で2.5倍、ベンゾジアゼピン系は通常量でもおよそ1.4倍リスクがある |
暴露を防止するよう努力すべきか? | 努力すべき |
<看護学生へ明日、答える言葉>
ベンゾジアゼピン系は、死亡も含めて交通事故のリスクが全体的にあるようです。
・服用していない人と比べて、およそ1.4倍のリスクです。
・また、zolpidem(商品名:マイスリー)は10mgを越える高用量で2.5倍くらいのリスクがあります。
・可能ならば、zopiclone(商品名:アモバン)が、安全かも知れません。
看護学生に、納得してもらえるでしょうか・・・?
これから)薬剤師をつづけながら、いくつか「本当にオモシロイ!」経験をさせていただいています。EBMのアプローチもその1つ。ひとりEBMをするくらいですから。何が、オモシロイのか?、臨床でどうなのか?、もうちょっと考えましょう。
- 作者: 渡部昇一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11
- メディア: 新書
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