David Sackett や Gordon Guyatt らが、1993年”Users’ guides to the medical literature. JAMA, 270(17), 2096-7.”を寄稿してから、20年。ガイドを読むだけではわからず、有志で月例勉強会を100回、箱根での合宿は4回目を迎えました。
MDアンダーソン病院の上野先生がいう「EBMが実際にできている人は、米国でも10%」という告知は、正しいな直感しながら、COOKBOOK批判される「世の誤解」は残ったまま。残る道は、「できる人」と「できそうな人たち」が成果をあげることだと感じています。
EBMとは、科学的な方法でその患者さんにとって最適な論文を適応する臨床の意志決定である。
Evidence-based medicine (EBM) or Evidence-based practice (EBP) aims to apply the best available evidence gained from the scientific method to clinical decision making.
(The promises and pitfalls of evidence-based medicine.Health Aff (Millwood). 2005 Jan-Feb;24(1):18-28.)
しかし、ロジックは正しくても現実ではうまくいかないのなら、真空状態を条件にした物理の入試問題と同じになってしまう。
そうならないために。
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効果と副作用の計算をふだん使いしてみる。
Stroke. 2008 Jul;39(7):2052-8.
Reduction in the recurrence of stroke by eicosapentaenoic acid for hypercholesterolemic patients: subanalysis of the JELIS trial.
上の図は、イコサペント酸エチル(EPA)が脳卒中の再発を予防する効果を示しています。
EPAがどのくらいの効果があるのか?二次予防の脳卒中で計算してみましょう。10.5%-6.8%=3.7%。これを逆数にして、1÷0.037=27(人)。試験の追跡期間は平均4.6年なので、NNT4.6y=27。
副作用と比較すれば、さらに行動決定を促すことができそうです。下の図で出血リスクも同様に、1.1%-0.6%=0.5%。これを逆数にして、1÷0.005=200(人)。NNH4.6y=200
つまり、この論文からこんなコメントができそうです。
「魚の脂のようなエイコサペンタエン酸を5年くらい服用すると、脳卒中の再発リスクは27人に1人予防ができて、出血のリスクは200人に1人です」。
このくらいのコメントが結果から読めれば、診療場面でも活用できませんか?
論文の数値そのものから、もう1歩吟味する技術は、それほど難しくはなさそうです。
気づき)
・EBM箱根合宿で、そうだそうだ「ふだんから活用しよう」と思ったのでメモ
・慣れてしまえば、暗算でだいたいわかる
・「効果と副作用を必要人数で比較しよう」と思うことから
これから)法人薬事委員会事務局、月〆処理
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