思っていたより深刻

思っていたより、深刻。

 今年のまとめと、来年はどうしようか?

 考えていたら、思い出した1フレーズ。

 薬害のレクチャーをしたあとのグループワークの発表で、いただいた感想のひとこと。

 自分が想像していたよりも深刻だ、という受け止めの感想なのだろう。ストレートなだけの表現に、勇気あるな、新人って、と感心する。

 思っていたより、深刻。

 って。

 だから、どうするんだよ。

 わからない。

 でも深刻。

プリンセス 栗山千明×蜷川実花

プリンセス 栗山千明×蜷川実花

 女優の栗山千明さんは25歳、成長期だ。

私は、緊張しいだからこそ、本番で思いっきりできるのかなって。私は緊張してるからこそ、もうやらなきゃっていう気合いが、半端ないんですよ。なので、ケガしてても気がつかないほど本番をやる。

 わたしは、くり返される薬害、薬害がおこる社会構造、社会薬害と医療薬害、そしてサリドマイド以降の薬害裁判の目的4つについて、レクチャーをした。

 なかでも、よくセレクトしたな、と思うのは、この4つのメッセージ。

(看護師として水俣診療所で働き始めた峰子さんの言葉)

「水俣病はなる人が悪い」といわれれば「そうかもしれない」と感じ、「金がほしい人がなる病気だ」といわれても、理論的に否定できないでいた。

(『水俣病の真実―被害の実態を明らかにした藤野糺医師の記録』大月書店、矢吹 紀人、2005/10)

→ 知らないことで、ゆがむ。いらない負の気持ちを背負い込む。だから、学ぶ。

龍平とともに―薬害エイズとたたかう日々

龍平とともに―薬害エイズとたたかう日々

 龍平へ

 お母さんの今の気持ちを書きます。

 お母さんは仕事をすっかり辞めました。辞めてゆっくり貴方と一緒にいられる時間をつくりたいと思ったからです。でも、もう1つの理由は、続けることができなくなったからです。ささいなことですぐ怒ったり、涙がこぼれてしまったり、自分をコントロールすることができなくなってしまったのです。

(『龍平とともに』岩波書店、川田悦子、1997/03)

→ 母のせいいっぱいの気持ち。家族のことなど、話さなくてもいいのに、本当につらかったことが私たちに伝わる。

「爆弾への招待」

 僕が道徳に背くと思われるようなことをしたとしたら、それはこの計画(マンハッタン計画)に参加したときのそもそもの理由を、思い出さなかったことだろう。ドイツが負けてその理由がなくなったとき、そんなことは念頭にも浮かばなかったんだ。僕は考えることを止めていたんだな。

(『聞かせてよ、ファインマンさん』 岩波現代文庫、Richard P. Feynman, 2009/04 )

→ ファインマンさんは、ものすごい物理学者という愉しい立場でいてほしい。でも、考えなかったら、深い負の世界に引きずられる。もどれない、過去。

(薬害スモンで、厚生労働省班長甲野先生の言葉)

「自分にとってあれは、『季布の一諾』だった。スモンという非常に泥臭い、社会的には泥水を被るような中であっぷあっぷしながら自分もやってきた。しかし、やはり今考えてみると、ウイルス学者がウイルス説を否定することに寄与できたことを、非常に自分は誇りに思う」

(『薬害エイズはなぜ起きたか―二度と悲劇を繰り返さないために』桐書房、薬害根絶フォーラム編、1996/06)

→ 最後に医療従事者として、こうありたい、というメッセージ。

思っていたより、深刻。

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