NSAIDs外用剤は急性期と慢性期、どちらに効くのか?

 NSAIDs外用剤は急性期と慢性期に、どちらにも「何らかの」効果がありそうな気がする。しかし、急性症状を捻挫や筋肉痛、慢性症状を1カ所の関節炎やリウマチとすると、急性期はプラセボと同等で、慢性期はNNT3くらいの効果があるらしい。

 治療の介入をするのか、しないのか?。論議はいつでも興味をひく。

 そしてこの論議は、治療そのものに、価値があるのか?、ないのか?、という話にまでしばしば発展する。

オックスフォードのコメント)

 もっともよい例の1つは、外用のNSAIDsの論議についてで、システマティックレビュー( BMJ 1998:333 )がすでにでているにもかかわらず、「疑いが残る」。このレビューには、疑わしい2つの論点がある。

 1つは、「塗り薬だけ」が痛みを軽減させるという点。→これは不明もう1つは、効果に否定的で、まだ発表されていない報告が多数あり、その結果を含めると、結論が変わるということだ。→これは、否定的な報告を含めても結果はそうは変わらないことがわかった。

Quantitative systematic review of topically applied non-steroidal anti-inflammatory drugs.

BMJ 1998 316: 333-338.

■Systematic review

 このレビューは、いくつかの電子データベースと、ハンドサーチでジャーナルから痛みを軽減するアウトカムについての臨床試験の専門のデータベース、そして、コクランライブラリーも含めている。英国の製薬会社がまだ論文として報告されていない研究についても調査をした。調査に含まれた臨床試験は、ランダム化とプラセボ比較で、ダブルブラインドにされた臨床試験で、原著であるものとした。

 急性症状は、捻挫や筋肉痛と定義し、これらのアウトカムは、1週間後に少くとも痛みが半減することとした。慢性症状は、1カ所の関節炎やリウマチで2週間後に痛みが半減することをアウトカムとした。

■Results

 86のランダム化試験で、10,160 名の患者が含まれた。プラセボ比較試験の75%以上が、一般的なスケールで、5段階のうち3段階の質スコアで、これにより、バイアスは最小限であることと関連づけられた。

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■Acute conditions

 40の臨床試験で、捻挫と筋肉痛について、1,747名に外用のNSAIDs、1,492名にプラセボを投与していた 。外用のNSAIDsは、プラセボよりも効果がよく、1週間後のNNTは3.9人(95%CI 3.4 to 4.4)であった。 71%の患者は、外用のNSAIDで治療に成功し、プレセボ38%であった。ケトプロフェン、フェルビナク、イブプロフェンなどの外用で処方されたものは、NNTが、2.6~3.5人であった。局所または全身性の副作用、治療の中断はほとんどなく、NSAIDとプラセボに違いはなかった。

■Chronic conditions

 13のプラセボ比較試験で、慢性症状に、NSAIDを547名の患者に、プラセボを550名の患者に投与した。 外用のNSAIDは、プラセボよりも効果がよく、2週間後のNNTは、3.1人 (2.7 to 3.8)であった。NSAIDを投与した65%の患者が治療に成功し、プラセボで成功したのは30%であった。局所または全身性の副作用、治療の中断はほとんどなく、NSAIDとプラセボに違いはなかった。

■外用NSAIDと内服NSAIDの比較

 5つの臨床試験が、内服のNSAIDと外用のNSAIDを比較し、内服のNSAIDに、外用のNSAID以上の有効性はなかった(臨床試験は、3つが急性期、2つが慢性期のものであった)

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