ピロリ除菌は、何のためにするのか。
胃潰瘍にならないため?胃がんにならないため?
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療は胃癌のリスクを減少させうるか?
Meta-analysis: Can Helicobacter pylori Eradication Treatment Reduce the Risk for Gastric Cancer?
Ann Intern Med. 2009 Jul 21;151(2):121-8.
気づき)
・2004年のJAMAでは、胃がんリスクは減少させない、との報告
・このメタ分析では、除菌が胃がんのリスクを減少させるとの結果
・情報源に、”Google Scholar”が登場している!
*インターネット上の学術情報に特化した検索エンジン
背景:ヘリコバクターピロリ感染は胃癌と関連しているが,胃癌リスクにおける除菌の効果は十分明確になっていない。
目的:除菌治療が胃癌のリスクを減少させるか、明らかにする。
方法:2009年1月31日までのPubMed,EMBASE,Cochrane Library, Google Scholar,とonline clinical trial registersに登録された臨床試験で,言語を問わない。ピロリ陽性患者における除菌治療と無治療を比較し,その後の経過観察で胃癌や前癌病変出現について評価した無作為化比較試験。2人の著者が独立して評価し,データを抽出した。
結果:
7研究が適合し,うち1つが臨床的および方法論的に異質でプール解析から除外。すべての研究が胃癌発症率の高い地域(多くはアジア)で行われた。全体で,治療を受けた患者3,388人のうち37人(1.1%)が胃癌を発症し,一方で無治療の対照群では3,307人のうち56人(1.7%)であった。6つの研究のプール解析(合計6,695 人,4-10年のフォローアップ)において,胃癌の相対リスクは0.65(95%CI,0.43~0.98)であった。1つを除くすべての研究はアジアで行われた.胃癌発症率を評価したのは2研究のみであり,二重盲検化されたのは2研究のみであった.
結論:ヘリコバクター・ピロリの除菌治療は胃癌のリスクを減少させるようだ。
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