メトクロプラミドMetoclopramideは、国内では1965年10月に薬価収載されている薬剤。添付文書には、「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]」。
一方、米国やカナダでは妊娠中の吐気嘔吐にはpyridoxine 、doxylamineが処方され、重症な場合にMetoclopramideが処方されているようだ。米国FDAは妊婦への投与にはカテゴリーBで、 It means that it could be used in pregnancy but only if it is necessary and with knowledge, recommendation and close look up from the doctor. It passes into breast milk so it is not good to take it while breast feeding.(必要なら妊婦に使えるが、母乳には移行)。
Metoclopramideが妊娠第1期でも安全できるとの報告。
The Safety of Metoclopramide Use in the First Trimester of Pregnancy
N Engl J Med. 2009 Jun 11;360(24):2528-35.
背景:メトクロプラミドは、妊娠女性に対する制吐薬の第一選択薬としてさまざまな国で使用されている。しかし、妊娠期の安全性に関する情報は十分ではない。
方法:イスラエル南部地区でクラリット健康保険(Clalit Health Services)に加入しているすべての女性に対し、1998年1月1日~2007年3月31に行われた投薬に関するデータベースと、同時期にその地区の病院に入院した母子の入院記録のデータベースとを組み合わせ、妊娠第1期のメトクロプラミド投与の安全性を調査した。妊娠期のメトクロプラミド投与と胎児の有害転帰との関連について、母親の出産経験、年齢、民族、糖尿病の有無、喫煙状況、周産期の発熱の有無で補正して評価した。
結果:調査期間中の単胎児出生数は 113,612 人であった。クラリット健康保険に加入している女性の児は 81,703 人(71.9%)で、このうち 3,458 人(4.2%)は妊娠第 1 期中にメトクロプラミドに曝露されていた。メトクロプラミドへの曝露は、非曝露と比較して、主な先天性奇形(それぞれ 5.3%と 4.9%、オッズ比 1.04、95%信頼区間 [CI] 0.89~1.21)、低出生体重(8.5%と 8.3%、オッズ比 1.01、95% CI 0.89~1.14)、早期産(6.3%と 5.9%、オッズ比 1.15、95% CI 0.99~1.34)、周産期死亡(1.5%と 2.2%、オッズ比 0.87、95% CI 0.55~1.38)の各リスクの有意な増加とは関連していなかった。曝露された胎児と曝露されていない胎児の治療的流産を解析に加えても、結果に著しい変化はみられなかった。
結論:この大規模乳児コホートにおいて、妊娠第 1 期のメトクロプラミドへの曝露は、複数の有害転帰のいずれについても、リスクの有意な増加とは関連していなかった。これらの結果は、妊娠中の悪心・嘔吐を軽減するために母体にメトクロプラミドを投与した場合の、胎児に対する安全性にさらなる保証を与えるものである。
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