医療従事者も守るための「利益相反ルール」を

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 みなさんの医療機関では、利益相反についてのルールをすでに決めていますか?今年は日本医学会からも勧告が整備され、国内でも勧告の提案がさらに進みそうです。米国では1999年のゲルシンガー事件で18歳のゲルシンガー少年が被験者としては的確ではなかったのに、臨床試験の遺伝子治療で死亡しました。医師は製薬会社の未公開株を30%所有していたそうです。最近の米国の韓国では、「ボールペンなどの低額なギフト」も贈答の禁止を勧告しています。

 医療従事者と利益相反の対応を検討するのに、下書きを書いてみました。

【1.バックグラウンド】

● 利益相反(Conflict of interests : COIs)に関する報告が、10年ごとに増加している

・一人診療の診療所ほど接触回数が多い。大規模な病院ほど処方システムが自動的で医師の個別判断が少ない、MRとの接触制限がある、教育システムが病院内でしっかりしている、MRに頼らなくても医療情報に困らない(NEJM 2007:1742-)。また、「やり手」とされている医師ほど「Win-Winの関係なら、何ら問題なし」と思っている(医学書院/週刊医学界新聞(第2891号 2010年08月09日)

● 一方、2008年米国医科大学協会(AAMC)、2009年米国科学アカデミー医学研究所(IOM)の勧告では「ボールペンなどの低額なギフト」も贈答の禁止を勧告している。

【2.どうして取り組むのか?】

・医療、研究が活発になると企業連携が発生し、医療団体としての責任と個人利益が衝突する状態が必然的、不可避的に発生する

・薬害訴訟は、主に国と企業の責任追及。COIsは、医療者側の責任。

【3.着眼点は何か?】★本質的なリスクは何か?(仮説)

 (患 者)

・不要な医薬品が採用され、処方される。適正な治療(essential)にたどりつくのに足かせ、バイアスになる

→ 結果として、患者が必要な治療を迅速に受けられない

 (医療者)

・患者のために製薬会社と適切な関係を本当は望んでいるのに、誤った行動をしてしまう。    

→ 利益相反状態そのものではなく、適切にマネージメントされていないことが問題

【4. 何をするのか?】

1) まず、施設の現状を把握する(参考:NEJM 2007:1742-)

1. What do physicians receive from industry?

2. How often do physicians meet with industry representatives?

3. What characteristics are associated with the frequency and nature of physician–industry relationships?

2)どのような関係が「適切」なのか検討し、提案をする 

【結論の見通し】

本来は患者の利益を最優先にされるべき医療が、医療従事者と製薬会社の「利益相反」により適切ではない事例が報告されています。

 1)薬事委員会、倫理委員会などで「利益相反」に関するルールづくりを検討しましょう

 2)利益相反について、職種を越え、管理者も各職場も議論をしましょう

 3)利益相反ポリシーは、患者はもとより、医療従事者や医療機関を守る役割があります

(参考)ガイドライン、リスク因子の抜粋

気づき)

 ・産学連携で、研究者と企業の勧告は多いのですが、一般的な医療機関と企業の勧告は少ない?

 ・金額が小さければルール化は必要なし?(というわけではないか?)

 ・医師だけではなく、すべてのスタッフと検討

これから)

 薬剤師委員会

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