制酸剤の使用と院内肺炎のリスク

制酸剤の使用と院内肺炎のリスク

Acid-Suppressive Medication Use and the Risk for Hospital-Acquired Pneumonia

JAMA. 2009;301(20):2120-2128.

[背景]適応がないのに、入院患者へ制酸剤投与が着実に増加。

[目的]制酸剤と院内肺炎の関連を調査

[方法]Prospective pharmacoepidemiologic cohort study(前向き型薬剤疫学的コホート研究)。マサチューセッツ州ボストン郊外にある大規模な医療センターにおける、2004年4月~2007年12月までの18才以上で3日間以上入院した全患者を対象。ICUは除外。制酸剤は、プロトンポンプ阻害剤PPI;proton-pump inhibitor、もしくはH2阻害剤histamine2 receptor antagonistとした。交絡調整のために、多変数ロジスティック回帰。

[アウトカム]制酸剤に暴露された群と、暴露されていない群のICD-9-CMで定義された院内肺炎の発症率を比較。

[結果]63,878名をコホートに登録。制酸剤は52%の患者に処方され、そのうち2,219人(3.5%)が院内肺炎だった。補正なしの院内肺炎の発生率は、暴露群の方が、非暴露群よりも高かった(4.9% vs 2.0%; odds ratio [OR], 2.6; 95% confidence interval [CI], 2.3-2.8)。多変量ロジスティック解析で、補正された院内肺炎の発生率のオッズ比は、1.3 (95% CI, 1.1-1.4)であった。The matched propensity-score analysis yieldedも同一の結果だった。関連性は、プロトンポンプ阻害剤で有意差があったが(OR, 1.3; 95% CI, 1.1-1.4)、H2阻害剤では有意差はなかった (OR, 1.2; 95% CI, 0.98-1.4)。

[結論]この大規模な病院をベースにした薬剤疫学的なコホートで、制酸剤は院内肺炎の発症率を30%増加させることと関連していた。副次的な分析で、統計学的に有意なリスクは、プロトンポンプ阻害剤だけにみられた。

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