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・Duloxetine(SNRI)がずいぶん騒がれています。
もともとは、うつ病、糖尿病性末梢神経障害の痛みの薬剤。
→これが線維筋痛症(FMS)の痛みを軽減し、腹圧性尿失禁症状を改善するらしい。
→何の薬やら。
→イーライリリーはデュロキセチンのFDA の承認を取得することができませんでしたが、腹圧性尿失禁治療薬として市場に参入する可能性あり?
・確認が必要なこと→SNRIが、膀胱出口の抵抗を上げるか?んんん?
・Bandolierは、システマティックレビューは信頼できるとしているな。
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¥Minds 医療情報サービス(http://minds.jcqhc.or.jp/)より
女性の腹圧性尿失禁に対する新規薬剤として期待されているduloxetineとプラセボとの二重盲検ランダム化比較試験 (治療期間は36週間と比較的長期) の論文である。duloxetineはserotoninとnorepinephrineの再取り込み阻害剤 (SNRI) で,もともとはうつ病・糖尿病性末梢神経障害性疼痛に対する薬剤である。仙骨脊髄にあるOnuf核にはserotoninとnorepinephrine 濃度が高いことが知られており,SNRIは膀胱出口の抵抗を上げる可能性がある。この論文では,duloxetineは,プラセボに比し若干QOLを向上させるものの,有意の差を示すことはできなかった。腹圧性尿失禁の薬物治療はなかなか難しいことを再認識させる論文である。
¥オックスフォードのBandolier(http://www.medicine.ox.ac.uk/bandolier/)
デュロキセチンは、1日60または120ミリグラムの用量で糖尿病性神経障害や線維筋痛症の一部の患者に有効なエビデンスがある。1人の患者が少なくとも50 %の痛みを緩和するNNTは、6です。吐き気、傾眠、便秘と食欲低下は共通した有害事象である。
【Reference】
痛みを伴う糖尿病性神経障害、線維筋痛の痛みへのデュロキセチン:無作為臨床試験のシステマティックレビュー
BMC Neurology 2008 8:29. (http://www.biomedcentral.com/1471-2377/8/29)
【Study】
*レビュー完了の日付: 2008
*調査した試験数: 6
*患者数: 2216
*対照群:プラセボ
*主な成果:少なくとも、50 %の痛みを軽減、痛みの平均スコア、有害事象。
【Results】
臨床試験はすべて適正に行われ、適切な品質と有効性のスコアと、少なくとも中程度の痛みのある患者を対象としていた。期間は12~13週間。痛みを伴う糖尿病性神経障害の3つの試験には、30 %が大うつ病と診断された患者が含まれていた。デュロキセチンの用量は、1日60ミリグラムまたは120ミリグラムだった。
デュロキセチンの用量は、有効性の結果に差をもたらさず、どちらの投与量でも同じであった。全体的には、少なくとも50 %の痛みを緩和するNNTは、5.9 ( 4.8から7.7まで)だった。線維筋痛( 6.4 )より、糖尿病性神経障害( 5.1 )の方が、多少痛みを減少させた。
中断をともなう有害事象はプラセボ( 8 % )よりもデュロキセチン群で( 15 %)高かった。プラセボよりもデュロキセチン群が特に高い有害事象は、悪心(29%対10%)、傾眠(14%対4%)、便秘(13%対3%)、食欲の低下(7%対1%)だった。
【Comment】
これは、よい研究のあつまりで、バイアスを避けるのに十分な質があり、無作為化の偶然をさけるのに十分なサイズであり、かつ信頼するのに十分な妥当性がある。これは、痛みを伴う糖尿病性神経障害、線維筋痛にデュロキセチンが、効果において合理的なレベルがあることを示しています。
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