魂がういたメディエーション

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 和田仁孝先生(早稲田大学大学院法務研究科)、中西淑美先生(山形大学医学部総合医学教育センター准教授)による医療メディエーターの2日間コース、終了。

 2日目の最後のグループワークで、患者さんの魂は私たちのテーブルの上にぽうっと浮いた。誰が、この魂を撫でるのだろう。チュートリアル中西先生は、私たちを例に解説をはじめた。

 患者と医療従事者のGrief(悲嘆)に触れたとき、研修を忘れ、涙があふれた。

 そもそもの私のきっかけは、橋本先生のメッセージ

「あの事故」の1年半後の夏に横浜市立大学に赴任し、医療安全の考えや諸活動を大学病院という組織に定着させるべく、作戦を練っていた。同時に、立ち上がったばかりの患者安全推進協議会の中での議論に啓発されながら、具体的な方法を学んでいった。しかし、医療安全に関わる基本フレームに大事な何かが欠けているような直感がずっと残っていた。(認定病院患者安全推進協議会 教育プログラム部会 部会長 橋本 廸生)

 そして、患者さんからは、

「一審は、医療者との闘いでした。でも、二審からは、日本の司法との闘いでした。裁判をするたびに、本当に話を聞きたい人や情報から離れていきました。第三者って何でしょうか? もっと、当事者ときちんと話し合いたかった。あきらめないで、逃げないで、向き合ってほしかった。認めてほしかった」

(看護管理 2007Dec.Vol.17 NO.12、中西淑美『メディエーションへの「懐疑」を考察する』)

 研修前にテキストを購入したが、さっぱり(?)。

 中途半端にわかるよりは、本物から理論もスキルも精神も浴びてしまった方がいい、と思いそのまま研修へ。 以下、メモ。

・メディエーションとは、メディエーターが、当事者間の対話を促進することを通して、認知の変容を促し、納得のいく創造的な合意と関係再構築を支援するしくみ。紛争における裁判外紛争解決(Alternative Dispute Resolution)の1つである合意型調停。

・医療メディエーターの日本語名称は、「医療対話仲介者」で、認定医療メディエーターの総数が 632 名 。

・交渉→相談→斡旋→(メディエーション)→*調停→*仲介→*裁判。調停以降は、第三者が決めてしまう。その前に当事者同士が対話促進型で解決しようよ、という「関係的正義」。勝ち負けではない、生が費えるときにときに、目を閉じたときにはNothingだ。

・メディエーションのスキルは、コミュニケーション技法のメタ認知:1)紛争マッピング(IPI分析:Issue, Position, Interest⇒interestに注目)、 表層の争点の奥にある当事者の想いを抽出、2)エンパワメント・スキル(ケアと聴くこと)=パラフレイジング, 開かれた質問など、解決と話し合いへの「構え」を創っていく、3)問題解決へのスキル(争点の変容と合意):リフレミング, ブレイン・ストーミングなど、WINWIN解決へ向けた柔軟な解決の創造。

・IPI 分析(Issue:対話の中に現われる争点、Position:その争点についての主張・要求、Interest :そのPositionを取らせる背景にある基盤的なニーズ・利害)

・「生命を返せ!」、苦悩と怒りの事例

→「被害」表層=生命・身体の損失、経済的損失、深層=人間としての「生」への意味、Grief体験

→「解決」表層=法的解決、損害賠償、深層=Griefからの回復

・TIPS

×(患者)→(メディエーター)→(医療従事者)

○(患者)→(メディエーター)→(患者)にいったん戻して確認し、トゲを抜いて後ろ向きを前向きに変えて伝える(メディエーター)→(医療従事者)

例)先生は昨日来なかった!、先生は来られなかったのですね、と患者に返し、医師には当日の業務システム等を訪ねる。事実にもどす感じ。

 メディエーションへの道は、かなり手強い。ちょっとだけ見えた感じは、体に痛みとして残った。ひどい患者、ひどい医療者に囲まれたときには、本当に傷ついた。interestに沿って、事実で展開していく。厳しくあれ。

 先生方、参加者、そして準備されたみなさんありがとうございます。

これから)火曜日なので、ランニング。ちょっと久しぶり。

医療コンフリクト・マネジメント-メディエーションの理論と技法-

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