関節リウマチにおけるDMARDs, MTX, TNFの行方


 関節リウマチRA; Rheumatoid Arthritisの治療は、2001年にすでにコクランがMTXが有効と評価(Methotrexate for treating juvenile idiopathic arthritis)してから、さまざまな医薬品が発売された。温熱療法やハーブ、その他の治療をふくめコクランのレビューは、現在”Rheumatoid Arthritis”の検索でシステマティックレビューだけで、60件を超える。

 関節リウマチにおけるDMARDs, MTX, TNFの行方を考えるときに、費用を勘案したレビューが発表された。

 これまでのDMARDsは費用対効果が悪く、MTXを選択するも、まだ生物学的製剤は価格が高く、耐性や副作用の点で、十分に評価できない状況のようだ。

超早期関節リウマチに対する対症療法,疾患修飾性抗リウマチ薬,および生物学的製剤:費用対効果分析

Treatment of Very Early Rheumatoid Arthritis With Symptomatic Therapy, Disease-Modifying Antirheumatic Drugs, or Biologic Agents: A Cost-Effectiveness Analysis

Ann Intern Med. 2009 Nov 3;151(9):612-21.

背景:長期にわたる関節リウマチのコントロールや寛解は、おそらく早期からの治療によって可能だと思われる。しかし、最適な初期治療戦略はまだ不明だ。

目的:超早期関節リウマチの主要な治療戦略の潜在的な費用対効果の分析。

研究デザイン:確率的感度分析を用いた判断分析モデル(analytic model)

情報源:報告されているデータ,米国リウマチ性疾患データベース(the National Data Bank for Rheumatic Diseases)と2007年の実際の病院のコスト

対象集団:米国成人の超早期関節リウマチ患者(症状の持続期間が3か月以下)

研究対象期間:生涯

展望:医療提供者と社会

介入:3つの治療戦略を比較

1)対症療法もしくは「ピラミッド治療」と言われる非ステロイド性抗炎症薬,患者教育,疼痛管理,低用量ステロイドを初期に用い,1年経過してまだ治療反応性のない患者に疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)を投与する方法

2)メトトレキサートを早期から用いる早期DMARD療法

3)早期より生物学的製剤とメトトレキサートを用いる方法

結果判定:生活の質を調整した生存年(QALY)を増やすために必要な費用

基本症例分析の結果:

・関節びらんの進行や続いて起こる機能障害を抑えることで,2つの早期からの治療介入戦略はピラミッド治療と比較して,QALYを増やし,長期コストを節約した。早期の治療介入のコストを考慮に入れると,早期DMARD療法の費用対効果比は4,849ドル/QALY(95%CI,0~16,354ドル/QALY)で,その費用対効果はピラミッド療法よりも高い。

・しかし一方,早期からの生物学的製剤により得られる有益さは相当のコスト増大につながる。早期DMARD治療は,早期からのDMARDの効果を最大にし,生物学的製剤追加の効果がより大きい罹病期間の長い治療抵抗性患者のために,生物学的製剤の投与をとっておくことを可能にする。

感度分析の結果:薬価が下がれば,死亡リスクが低くなり,患者は投薬の必要のない寛解状態となる。そして治療開始前に薬剤の奏効する患者を選択することが可能となり,いくつかの生物学的製剤で効果を示さなかった患者には代わりの抗リウマチ薬を投与することができ,早期からの生物学的製剤の費用対効果は改善する。

研究の限界:早期の治療介入の自然経過や機能障害,関節びらんに関する長期的な効果についてのデータに限界がある。この研究ではTNF阻害療法のみ検討され,他の新しい生物学的製剤については分析されていない。

結論:最も客観的な関節リウマチの進行の評価で,従来からのDMARDを用いた早期治療の費用対効果が高いことがわかった。早期からの生物学的製剤による治療の費用対効果は、未だ不明確である。

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