薬害を覚悟する本15)部分感情にサヨナラ

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*写真は、丸善ホームページより

 森鴎外が『洋学の盛衰を論ず』でいうように、「何のために働いているのか」を諭す書は多い。くり返す薬害の原因は、絡み合った利益相反conflict of interestでできている。

 利益相反とは、いわば部分感情ともいえる。相手のために、といいながら自分の利益をとる。部分感情による行動は、個々の問題を解決しているように見えるが、全体に多大な損害を被る。

 

 自分が見えている世界がすべて、と見誤らないために部分感情にサヨナラするためには、どうすべきか?

情報は教養の道具ではない

 生きるために情報がある。情報の氾濫をひっくり返して、いったんすべてシャットダウンして、枯渇してみる。自分は何がほしいのか?、わかるかも知れない。

「検索型アプローチ」ではトレーニングにならない。本の前に立って、じっと本を眺めて、手にとって考える。これが重要なのである。なぜか。情報と情報の相関は、表題だけではわからないことが多いからだ。「なぜ、この本がここに?」と思ったら、目次を開いてみる。すると、表題からは伝わらなかった斬新な切り口が見えたりする

 著者は、古本屋通いを勧める。神保町の古本屋か・・・と思ったが、丸善丸の内本店4階には「松丸本舗」がある。ここには、編集工学の松岡正剛さんが「日本に知をいかに鐙(とも)していくか」という丸善のミッションとの共同プロデュースした書店が入る。

 ふつうの書店は、売れ筋が並ぶ。しかし、松丸本舗には関連が並ぶ。だから、棚1つの表題を眺めるだけでも相当頭が飛ぶ。よく読む「デザイン」「WEB」「哲学」のコーナーに立ち寄ると、たしかに大切な本が古くも新しくもギュッとつまっている。松丸本舗を1周すると、いかに自分が小さいのか?、気づく。

 30分のラウンドでできる宇宙体験。

 わたしたちは、「世界を知る」という言葉を耳にすると、とかく「教養を高めて世界を見渡す」といった理解に走りがちである。しかし、そのような態度で身につけた教養など何の役に立ちはしない。世界を知れば知るほど、世界が不条理で満ちていることが見えてくるはずだ。その不条理に対する怒り、問題意識が、戦慄するがごとく胸にこみ上げてくるようでなければ、人間としての知とは呼べない。たんなる知識はコンピュータにでも詰め込んでおけばいい。

 薬害という不条理をくり返さないためにも

 部分感情から、全体知へ。

 多摩大学学長の著者が次の時代の人たちに!、と書き下ろした1冊。読むなら、はやいうちがいい。

世界を知る力 (PHP新書)

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これから)

昨日、久しぶりに走ったので余力なし。図書館、クリーニング、お参り、MacBookの手入れ。

松丸本舗で紹介されていた100冊選

読みなおす一冊 (朝日選書)

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