「業務をやりながら、スキルをアップさせているので、大丈夫です」
プライマリ・ケア臨床薬剤師レジデンシープログラムの研修生は、そう答えた。6ヶ月間の急性期研修が、あまりに手がかからなかったので、大丈夫だったか?、と尋ねた後の答えでした。業務をやりながらのスキルをアップは、指導者からの教えらしい。
薬学生のような詳細なコア・カリキュラムもなく、1〜2年目の薬剤師のようなシラバスもなく、「そのままふつうに現場に受け入れてほしい」というのが、依頼だった。だから、病棟担当の薬剤師につかせているだけの6ヶ月だった。もちろん、面接は随時行っていたし、病棟ローテションもした。パーソナルポートフォリオで、自己紹介をして、チームとも十分にコミュニケーションはとれている。
むしろ、問題がなさすぎることが、問題に感じるほどだった。
彼女から聞き取れた言葉を要約するとこんな感じだ。社会人における学びとは、目の前の業務をやりながらスキルをアップさせることが大切。勉強していないからできないではなく、目の前にあることが何なのか、受け止めることが大切。正確に言うと、分類。やるべきことなら理解とトレーニングが必要だし、そもそもの業務が混乱しているならルールの見直しが必要。はじめての病院だったので、いろいろな井戸を覗いた感じ。これは深いなー、これは飲んでみたいなーなど、たくさんの感触が味わえた。いまの自分には、このコンピテンシーが足りないから、これ伸ばさないとチームにならないって、よくわかった。長期の研修なら、選択をしてさらに学びを深めたい。いまはベースが地域医療なので、在宅に帰ります、とのことだった。
かっこいい。
むしろ現場の業務そのままだったから、学べた、ということ。
スキルアップしているのではない。させているのだ。
自分の立場ごとに学び方を知っているということが、学生にも社会人にも必要って、ことですね
学習はいわば参加という枠組みで生じる過程であり、個人の頭の中でではないのである。
(ジーン レイヴ, エティエンヌ ウェンガー「状況に埋め込まれた学習」)
気づき)土曜日は、自前の学術交流会を開催予定。彼女の発表も楽しみ。
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