東京には、本物が多い。いつだったか「今年はどうすごすの?」に聞かれ、「本物に触れる」と答えたときに、たいそう褒められたことをたびたび思い出す。本物にはコピーとは違うエネルギーがあって、そこからでてくる空気も手触りも、私に埋め込んだらどうなるのだろう、と興奮する。少くとも本物に触れた瞬間に私のDNAには何かが起こっているはずだから。東京には、美術品も、ノーベル賞学者も、世界中から集まってきて、安価に触れられる。
日曜日の午後は、お台場へ。「憲法九条を世界遺産に」を読みながら、バスでゆっくりと。お笑いと憲法9条のコラボは何を語るのやら。
処暑の候、久しぶりに片平洌彦先生(東洋大)のお話を聞く。疫学研究をまとめ、日常生活で実践をした結果が、ご健在ぶり。もう来年はご定年とのことだが、生涯研究者というお姿には学ぶことばかり。
明日は「薬害根絶の碑」を、厚労省内に建てて10年目。私が薬剤師になった年に、薬害エイズの裁判に関わって、のちの和解で「もう二度と薬害はおこさない」と、厚労省内に建てた碑だ。わが国ながら、国際的に恥ずかしい。
薬剤師として15年近く働きながら、無念なことは社会的な薬害がなくならないこと。一方、医療従事者側の責任で、本来達成されるはずの医療レベルが提供できないときに、悩む。
・私たち医療従事者が、勉強をさぼったら。
・私たち医療従事者が、製薬会社から何らかの利益を得ていたら。
Insulin Glargineの発がん性の一部的な報告がされているなら新規使用は差し控えるべきか、安全性が不明な抗体医薬品は薬事委員会がこれまで判断してきた有効性・安全性・経済性の枠をこえて、倫理の課題もある。
- 作者: 太田光,中沢新一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/08/12
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・何であの時点で憲法を変えちゃったのか、あの時の日本人は何をしてたのか
・憲法九条は修道院みたいなものなんですね。修道院というのは、けっこう無茶なことをしているでしょう。普通の人間が暮らせない厳しい条件の中で、人間の理想を考えている。そういう場所がある世界とない世界では、人のものの考え方が大違いです。
帰りのバスで、「憲法九条を世界遺産に」を読み終える。
やっぱり芸人なら、言葉にする前に、芸能で見せてほしいな、と欲がでる。
正しい、悪い論になると戦争になる。
その手前の議論の時間に、猶予はまだある。
若い世代が投票に行かなければ、若い人向けの政策を語るのは無駄。投票に来てくれる人たちのマニフェストを出した方が得票につながるのだから。
わたしには、何ができるだろうか。
「薬害根絶の碑」が厚労省の敷地内にできてから、10年目。
薬害は、なくなるか?
東京には、本物がひしめきあう。
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