「キラー薬剤師」が教えてくれた薬学部6年制が卒業する前にやっておきたい3つのこと

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(iStockphoto)

一次情報のほうが二次情報よりも人をひきつけます

(『アイデアを形にして伝える技術』原尻淳一)

 薬学部が6年制になり、これを機に「どう働き方を変えるか?」を検討している薬剤師も多いのではなないでしょうか?。

 6年制ではあるものの、「何が変わったの?」と医師や看護師からも、よく質問をいただきます。「薬学教育の実務実習モデル・コアカリキュラム」や、「FIP(国際薬学連合)の病院薬剤師声明」などは、よくできたモデルですが、「じゃあ、これを目指そう!」というスイッチには、ならないでしょう。ましてや、医師や看護師に「どうなってほしい?」と聞くのも、もう卒業したいものです。

 大学は、育て方を、決めました。

 病院は、育つ場を、つくるとき。

 「何が変わったの?」ではなく、「どう変えるの?」なのです。

1.「薬剤師は考えないデータ」から脱すること

 医師とカンファレンスをするときに、「それ知ってる~」と医師に思われるようでは、ダメ。「え!、それ知らなかった。どうする?」といわせるようなメッセージをちゃんともっていること。立場が違うのですから、意見が違っていて当たり前。わかっている医師は、それを求めています。医師がほしいデータのアンテナ役になることは、チーム医療上の役割ですが、データをそのまま「横流し」にしない。どうやったら、メッセージになるか?。それは、「情報+気づき」で、語ること。「気づき」は、最初は何でもいい。「処方1枚」をじーっと見ることから、患者さんの生きてきた物語りのなかで「治療どうしようか?」「で、どうだった?、どうなる?」に沿うことだと思います。「考えないデータ」を脱して、「データ+気づき」で語りましょう。

2.「何にもできない何でも屋」にならない

 中堅や責任者になると、だんだんと任されることが、増えます。調剤ができて、病棟もできる。全体が見渡せるのですから、何でもできるようになるわけです。しかし、ここでコモディティ(一般商品)にならないよう、自分のコアなすごさを見極める必要があります。コモディティは、組織にとっては便利です。何でも頼めるから。「自分のコアなすごさ」は、プロフェッショナル・ネイティブなら自然にやってのけるのでOKですが、all round follow がバランスよくできる薬剤師は、むしろ苦労をする点かも知れません。自分のライフポートフォリオを作成しながら、「何をやってきたのか?」「時間やお金をかけてやってきたことは、何か?」「何を大切にしているのか?」。振り返りではなく、俯瞰することが大切だと思います。そのままでは、プロフェッショナルレベルで何もできない、何でも屋になることは、間違いないのですから。もちろん、という道もありますが。

3.でも、「最初の10年くらいは、何でも引き受けよう」

 2と矛盾するようですが、仕事をはじめて最初の10年くらいは、何でも引き受けた方が、いいです。米国の「感染治療における薬剤師のトレーニングと認定の勧告」にも書いてありますが、”generalists first”なのです。そして、人として、医療者として、患者さんに近づくことです。ここで、病気は身体だけでなく、仕事や地域、社会、歴史のなかで作られること(過労死、公害、薬害、メディカリゼーション)に出会えたら、よりいいですね。薬剤師として、白衣を着つづけられるモチベーションは、「キャリアパス」ではなく、「正統的周辺参加=優れた徒弟制」ですから、何だかわからないけど、巻き込まれちゃうことを歓迎しましょう。そのなかに、自分が変われるチャンスがあって、いろいろ変わってみて、最後に選べばいいのです。10年くらいは、スーパージェネラリストを目指しましょう。

 これら3つのメッセージは、すべて私がいっしょに働いていた「キラー薬剤師」からのメッセージです。私自身にとっては、痛手でもあります。薬剤師のことは、薬剤師が一番よくわかっている。ですから、「どう変えるのか?」を仮説して、いろいろな職種からの意見もいただきたいものです。

その時に役立つのは、

薬剤師自らの「痛いメッセージ」かも。

気づき)

 ・という、心持ちで働きたい。

 ・また勢いで書いてしまいました。

 ・私を育ててくれたみなさんに、感謝。

このブログからの引用)

・プロフェッショナル・ネイティブ

・感染治療における薬剤師のトレーニングと認定の勧告

・お客さんではなく、でもまわりからはいっていく(Situated Learning)

アイデアを形にして伝える技術 (講談社現代新書)

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