2010年読んでよかった本10冊

 年末にかけて、ものすごい本が立て続けに発行されています。答えよりも「課題」を認識させてくれるブックたちに、多くを学ばさせていただきました。最近本棚を購入したので、順不同で今年読んでよかった本を10冊選んでみます。

10分間リーディング

10分間リーディング

 本を読む本は「レバレッジリーディング」当たりから、アウトプットを成果として読もう!という機運が高まりました。この手法は、ストーリーのある物語本以外にすべて使えて、まるで本当に1冊を読み切ったような成果をもたらせてくれます。実際に私も通勤の途中に職員から「本当に読むのはやいよね」と何度も声をかけられ、理由は「Read読みではなく、Search読みをしているから」と答えられるようになりました。とくにこの1冊は最初にこの本からもらうテーマは1つと決めて10分間で読むと「決める」ことが大切といっています。すべてのことに時間制限time-orientedを課すと、見える世界も変わってくるものです。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめ、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していく。ここを誤るとすべてのプロジェクトの意味がなくなる。ちょうど年末にこの本をブックファーストでこの「イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」」を手にして、奇跡的な幸運に恵まれました。たぶんこれを超える本は、しばらくはでない気がします。まさにこの本で指摘されている失敗事例を自分がやっていたからです。どんなに1つ1つのプロジェクトで解の質を上げても、そもそも意味のないテーマなら決して満足できる得られないとしったのです。私たちの時間は限られており、一撃で技を決める気合いをもって、来年は生まれ変わりたいものです。

 コーチングをはじめるなら、まず最新刊のこの1冊がよいかも知れません。海外の名著もよいのですが、まずこの神戸大学のMBA講座のテキストで全体を俯瞰してはどうでしょう?測ることの難しいモチベーションと成果について、その困難さの理由がわかります。いくらリーダーが毅然としていても、職員は感情を職場にもちこむものです。ですから、タスクコントロールではなく、プロセスをコーチできる方がよい成果を生み出す可能性は高くなるはずです。

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

 待ちに待った梅田望夫さんの新刊。「ウェブで学ぶ」を読むと心が彼方にいってしまいます。Open Course Wareで世界の大学が、その講義内容を公開し始め、世界知の共有がさらに新たな知を生む機運を感じます。貧困層ビジネスBOP(Base of the Economic Pyramid)が注目されていますが、教育についていえば、日本もその叡知を世界公開して自らのポジションを確認する時代なのだと思います。2010年に生きていて、世界教育に触れない理由はない、と感じます。興味があるなら、さわってみたらいいすぐそこにある世界です。

1Q84 1-3巻セット

1Q84 1-3巻セット

 「人間というものは結局のところ、遺伝子にとってのただのキャリア(乗り物)であり、通り道に過ぎないのです」という痛恨のメッセージを第1巻でいただきました。今年の物語は、村上春樹を読みまくると決めていましたので、もれなくこの新刊も読みました。1日研究日として、温泉に足をのばし、往復の電車と旅先で1人読んだのは、つねに村上春樹でした。1人でいるのだけれど、しまいには1人で結論を考えるのだけれども、人の冷たさと温かさを感じられるメッセージにあふれます。

 「水はあらゆるものに対して実にムダのない反応を示す」そのように、なれたらいい。つまり1)やるべきことを”すべて”把握しておくということ。2)人生において常に降りかかってくるあらゆる”インプット”にその場で対処できるようにすること。これが、ストレスフリーの状態なのです。その定義を知るだけでも、思考も物事も片づきます。年末に私はこの本を何度も読み直しています。前著は基本的なワークフローで「どうやるのか?」が整理され、今回の新刊は「なぜそれをやるのか?」もワークフローの垂直軸に取り入れる方法が書いてあります。相当レベルが高い。ただし、いつでも誰でもはじめることができるスゴ技であり、世紀的な発見が詰まっています。

Life Strategies: Doing What Works, Doing What Matters

Life Strategies: Doing What Works, Doing What Matters

 勝間和代さんが和訳をされた「史上最強の人生戦略」の原著。この本をプレゼントしたときに、私もまた読み返そうと思って、kindleで原著を購入しました。この2冊の組み合わせは、日本語版を読む方が正解です。勝間和代さんのドライブがかかった和訳の方が、より前のめりに事態を認識できるからです。しかし、原著で再読すれば、マズローの温度がわかり、より自分が変われるかも知れない期待に入り込めます。現実しかない(Get real)の第1章で、Mark Twainの”We do not deal much in facts when we are contemplating ourselves”が引用されており、自分の至らなさに気づきます。

東京Y字路

東京Y字路

 今年も何冊かの写真集を購入しました。なかでも横尾忠則さんのY字路シリーズは、「どうする?」という問いにあふれます。そのままでもいいし、どちらかに足を踏み入れてもいい。T字路ではないから、少し先が見える。人生岐路の縮図と読んでもいいし、その真ん中は何?と考えてもいい。しかし、その構図全体の美しさを楽しむのもいい、というメッセージもありなのですと、教えてくれる1冊です。

世界史の構造

世界史の構造

 柄谷行人は以前、別の書籍をいただき衝撃を受けています。わたしの読書リストにはない、まったくの別世界に投げ込まれ、他人推奨本の良さを実感しました。ですから、今年の夏に新刊がでたときにも迷わず購入して、自分のものさしでは測れないその世界で泳いだことを思い出します。知恵をいただき、影響しあい、生きている世界の面白さを実感できます。ちなみに、分厚すぎて持ち歩くことはできません。

 一言でいうと「今という時を告げる能力と作る人。すなわちビジョナリーな人本人が持っている人生を超えて時を告げられる能力を持っている人」がビジョナリーな人です。原著も”Success built to last”ですから、ちょっとアゴを上に上げて、目線をやわらかく歩いた方がいいかも知れませんね。

これから)10冊になったでしょうか?まだまだ紹介したい本はあるのですが、10冊なので、これで終わりです。来年も読書生活を楽しめますように。ちょっとたくさん書きすぎたので、手を休めます。

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