アスピリンの名前は、”Aspirin is derived from A = Acetyl and “Spirsäure” = an old (German) name for salicylic acid”がはじまりで、”the Spanish flu pandemic of 1918″で世界的に使用されたそうです(Wikipediaより）
さて、アスピリンの大腸癌抑制効果については、これまでもいくつかの報告があったが、生存期間の延長もJAMAから報告された。効果には、COX-2のexpression具合で個人差があるようです。いつか適応追加されるのだろうか？
（これまでの報告）
Long-term use of aspirin and nonsteroidal anti-inflammatory drugs and risk of colorectal cancer.
JAMA. 2005 Aug 24;294(8):914-23.
→ 有意なリスク減少は、服用が10年を超えた時点で見られる。高用量のアスピリンを長期使用で大腸がんリスクが低下するが、化管出血リスクは上昇。
Chan AT, et al. Gastroenterology 2008; 134: 21-28.
→大腸がんへのアスピリンの効果には、少なくとも 6 年間の継続服用が必要で，週14錠より多い用量で最大効果がえられる。しかし、消化管出血などの有害作用を考慮する必要がある。｣
（COX2expressionの人に、とくに生存期間延長が認められた今回の報告）
Aspirin Use and Survival After Diagnosis of Colorectal Cancer
JAMA. 2009;302(6):649-658.
大腸がん診断後のアスピリンの服用と生存期間
Context：アスピリンは、結腸直腸腫瘍のリスクを減少させ、動物モデルで腫瘍の増殖と転移を阻害する。しかしながら、大腸がん診断後の生存期間についてのアスピリンの効果は、不明である。
Objective：大腸がん診断後のアスピリンの使用と限定的、または全体的生存期間についての関係を調査すること。
Design, Setting, and Participants：ステージI, II, or IIIの大腸がんと診断された、1,279名の男女の前向きコホート試験Prospective cohort study。患者は、診断前に1980～1986年の間に、nationwide health professional cohortsに登録され、2008年6月1日まで追跡調査がされた。
Main Outcome Measure：大腸がんにおける限定的、または全体的な生存期間。
Results：フォローの中央値11.8年で、診断後にアスピリンを服用していた549名のうち193名(35%)が死亡 し、 81名(15%)が大腸がんによ死亡で、アスピリンを服用していなかった群は、730名のうち全死亡は、287名 (39%)で、 141名 (19%)が大腸がんによる限定的な死亡 だった。
非服用群と比較して、アスピリンを服用していた群は、大腸がんによる死亡率の多変量ハザード比multivariate hazard ratio (HR)が0.71 (95% confidence interval [CI], 0.53-0.95) 、全死亡率のHRが 0.79 (95% CI, 0.65-0.97)であった。
診断前にアスピリンを服用していなかった719名が、診断後に服用をはじめると大腸がんによる死亡率のハザード比は、0.53 (95% CI, 0.33-0.86)であった。
459名の免疫組織学的な評価を受けた大腸がん患者において、アスピリンの効果の違いは、シクロオキシゲナーゼ２のエクスプレッションcyclooxygenase 2 (COX-2) expression において、有意な違いがあった(P for interaction = .04)。
診断後のアスピリンの服用は、大腸がんの低下と関連がある。原発性腫瘍でoverexpressed COX-2の特異的な死亡率の多変量ハザード比は、0.39; 95% CI, 0.20-0.76であるが、COX2がabsent expression の場合は、1.22; 95% CI, 0.36-4.18であった。
結論：大腸がんの診断後にアスピリンをつねに服用することは、とくにCOX-2がoverexpress の患者には、大腸がんによる死亡と全死亡率を低下させることと関連がある。
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