<1> この一冊
「学習する組織――システム思考で未来を創造する」ピーター M センゲ (著), Peter M. Senge (著), 枝廣 淳子 (翻訳), 小田 理一郎 (翻訳), 中小路 佳代子 (翻訳)
<2> 学習することを全体から知っておきたい
教育や学習することを体系的に学んでいない私は、必要なテキストを探していました。なぜなら、現場の暗黙知から「学ぶ」を学ぶには、それなりの根気や感性が必要ですし、いま、大学にもどれるならば、教えること&学ぶことを、ご教授願いたい思いで、いっぱいだったからです。
そんな毎日で「教科書」を書店のビジネス書棚で探していたところ、厚さと価格が相応なので、衝動買いした1冊(分厚いし、値段もそれなりで、ずーっと本屋さんにならんでいましたから・・・)。しかも、訳者の一人は、「不都合な真実」を訳された枝廣淳子さんで、読みやすさも保障付きでしたので、即購入です。
さて、本書は「最強組織の原則」からの改訂版で、原著のほぼすべてが訳されているようです。
組織は全体として機能するという視点で、「学習する」ことを学ぶのですから、個人が何かを成し遂げるときに、個人の総体をどうするのか、という読み方でも学ぶものは多い1冊です。
学習する組織であるためには、5つのディシプリンが必要と提起されています。その5つは、「システム思考」「自己マスタリー」「メンタル・モデル」「共有ビジョン」「チーム学習」です。わかっている方なら、このお題を見ただけで、すでにお腹いっぱいのはず。1つのディシプリンだけでも、1冊の本が書ける内容ですから。それが、1冊にまとまっているのですから(それも相応の密度で!)、一読いただきたい一冊です。
<3> ブックメモ(Word’s Worth)
・「ディシプリン」というのは、実践するために勉強し、習得しなければならない理論と手法の体系でもある。ディシプリン(discipline:「学習する」という意味のラテン語「ディシプリナ(disciplina)が、語源)は、あるスキルや能力を手に入れるための発達途上の経路である。
・学習する組織には唯一完全の姿があるわけではない。むしろ、変化の激しい環境下で、さまざまな衝撃に耐え、復元するしなやかさをもつとともに、環境変化に適応し、学習し、自らをデザインして進化し続ける組織である。
・組織は、事業を行うための独自の知識を持つが、今までの日本の組織では「背中を見せる」「あうん」で教える暗黙知として伝承されるものが多かった。学習する組織のツールや手法は、暗黙知として伝えられてきた職業人の知恵と技を、わかりやすく見えるように形式知化して、伝承や改善を容易にすると同時に、その暗黙知に潜む本質を失わない大切さを伝える。
・学習する組織のツールは、楽器のようなものだ。数時間から数日間使っていれば音色は出せるようになるが、上手に曲を奏でるにはもっと練習が必要だ。一人で上手に演奏できても効果は限定的で、目指すのは、組織として合奏ができることだ。特に変化の激しい環境下においては、ジャズ・プレイヤーがその場や他の演奏者の状況を見ながら適応する「即興」が協働の質を左右するだろう。
・チーム学習というディシプリンは「ダイアローグ〔dialogue〕」で始まる。それは、チームのメンバーが、前提を保留して本当の意味で「共に考える」能力である。ギリシャ人にとって「ディアゴロス〔did-logos〕」は、「個人では得ることのできない洞察をグループとして発見することを可能にするような、グループ全体に自由に広がる意味の流れ」を意味した。
気づき)ボリュームありますね。でも、全体から、やろう。
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