感染治療における薬剤師のトレーニングと認定の勧告

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 「iPad+論文管理ソフトPapers」の組み合わせで、MEDLINEの海に飛び込んでいたら、教育分野でのいくつもの気になる論文を拾いました。プロフェッショナルとしてどうとしてどう学ぶか?は、私たちにとって「いい悩み」と受け止めています。

 CPD(継続的な能力開発)Continuing Professional Development、コンピテンシー(自ら獲得した知識で実践にいかす力)Cometency、そしてポートフォリオPortfolioなどが、世界でいまどんな論議がされているのでしょうか?

 今回は、その1つ「Recommendations for Training and Certification for Pharmacists Practicing, Mentoring, and Educating in Infectious Diseases Pharmacotherapy(感染治療における実践、評価と教育について薬剤師のためのトレーニングと認定の勧告)」を紹介します。

「薬剤師は、自分が興味のある感染症について、自己学習をしたり、実際にその疾患を経験しながら学んでいるが、このトレーニングモードでは、感染症における将来の臨床スペシャリストとしては十分なトレーニングとはならない」

pharmacists have nurtured their interest in infectious diseases by self-directed learning or on-the-job experiences, this mode of training is not considered feasible or sufficient for reliable training of future clinical specialists in infectious diseases.

 と、前段階で的確に今の問題点を提起します。病棟担当をはじめて2年間くらいは、「出会った症例」から学びはじめる、という段階です。しかし、中堅以降もこのまま出会い症例だけで経験を積んでも、期待されるスペシャリストには欠ける、ということだと思います。そこで、必要とされる分野の羅列が数ページに渡ってつづきます。

 認定 Certification

「感染治療についてトレーニングを受ける薬剤師は、まずジェネラリストであり、感染症のスペシャリストであることは、第二である」

Pharmacists with training in infectious diseases are generalists first and infectious diseases specialists second.

 感染に限らず、スペシャリストである前にジェネラリストであれ。この勧告は正しいと思います。医療者たる前に人であれ、と同じですね。8月の薬局長会議で「20代は何でも経験して、Generalistになりましょう。30代でSpecialistのフォローに入り、40代でSpecialist、そして50代はManagement」という仮説はOKかも、と思いました。Expert=generalist+specialistという感じでしょうか。

 最後に、すべての医療従事者における主要なコンピテンシー、感染症でトレーニングを受けた薬剤師のさらなるコンピテンシーを以下のように定義しています。(ご自身で吟味してみてください)

Core competencies for all health care professionals:

• Provide patient-centered care

• Work on interdisciplinary teams

• Employ evidence-based practice

• Apply quality improvement measures

• Use informatics

Additional competencies for infectious diseases–trained clinical pharmacists:

• Make empiric, prophylactic, and definitive antimicrobial treatment recommendations based on patient-specific factors

• Interpret and make treatment recommendations based on microbiology reports

• Interpret and make treatment or formulary recommendations based on antibiogram or microbiology data

• Critically evaluate and apply infectious diseases literature and research

• Make informed, evidence-based, cost- effective recommendations to relevant parties regarding formulary decisions

• Participate in infectious diseases–related continuing professional development

• Educate other health professionals (e.g., hospital staff, other pharmacists, students, and residents) and the public regarding infectious diseases

• Design, implement, and monitor programs to prevent, delay, or combat antimicrobial resistance

いかがでしょう?

論文は、以下で全文が読めます。

http://www.atypon-link.com/doi/abs/10.1592/phco.29.4.482

Pharmacotherapy 2009;29(4):482

Recommendations for Training and Certification for Pharmacists Practicing, Mentoring, and Educating in Infectious Diseases Pharmacotherapy

気づき)

 ・薬剤師がgeneralistである定義は、何でしょう?

 ・Competencyの運用もさらに学ぶ

 ・道具(iPad+Papers)が楽しくて、さわっていたら、さらに学べた例

これから)

 看護学校の薬理、管理会議、感染委員会、クリニカルパス委員会

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コメント

  1. K.S. より:

    EBMに続いて、最近、コンピテンシー研究会の立ち上げの構想をしています。ポートフォリオ評価を通じて、薬剤師におけるコンピテンシーディクショナリーの構築、そして交流ができればいいなあと考えているところです。是非ともMotoNesuさんにはご協力いただきたいと思っています。コンピテンシーと薬剤師で検索したらトップテン入りしていました。さすが、フロントランナーですね。面白い雑誌の特集見つけたので貼付します。医療安全コンピテンシーというのも面白いですね。
    http://www.niph.go.jp/toshokan/hoken55.htm

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