米国の高齢者における医療用医薬品,OTC医薬品、サプリメントの使用実態
Use of Prescription and Over the counter Medications and Dietary Supplements
Among older Aduits in the United States
米国で処方薬、OTC(自分で購入できる薬)、そしてサプリメントの使用実態調査が報告された。
・医療用医薬品使用者のうち46%がOTCを併用。とくに高齢者。
・25%が相互作用、うち4%に潜在的危険性あり。とくに男性の抗凝固薬が注意。
日本も構造改革以降、規制緩和は進む一方なので、より注意が必要。
[背景・目的]薬物相互作用の危険性があるにもかかわらず,米国での高齢者での医療用医薬品とOTC医薬品 (以 下,OTC)およびサプリメントの使用実態の情報は限られている。高齢者における薬剤の使用頻度と使用パターン (複数併用を含む),ならびに薬物相互作用の潜在的危険性について調査した。
[研究デザイン]57~ 85歳の米国内地域在住3,005人 を,代表性を持ちうるように考慮してクロスセクショナル (横断的)に抽出した。調査方法は,処方記録 (薬歴)情報も取り入れたうえでの自宅聞き取り調査を2005年 6月 より2006年 3月まで。薬剤の使用は医療用医薬品,OTCおよびサプリメントの毎日使用あるいは1週間毎の使用などの「定期的な使用」と定義した。複数併用は「定期的」に少なくとも2つ以上の薬剤を使用した場合とした。
[結果]
アンケー ト回答率は74.8%(重み付けされた回答率は75,5%)。母集団の81%(95%信頼区間 [CI],79.4%-83.5%)が少なくとも1種類の医療用医薬品を使用し,同42%(95%CI,39.7%-44.8%)が 少なくとも1種類以上のOTCを 使用し,同49%(95%CI,462%-52.7%)で サプリメントを使用していた。さらに29%(95%CI,26.6%-30.6%)が 医療用医薬品を5剤以上併用し,男性(37.1%;95%CI,317%-424%)および女性(36.0%:95%CI,30.2%-41.9%)とも75~85歳の層で最も併用率が高かった。医療用医薬品使用者のうち46%(95%CI,43.4%一49.1%)が OTCを併用しており、サプリメントの併用は52%(95%CI,48.8%-55.5%)。母集団の4%が薬物相互作用の潜在的危険性があり,うち半数は非医療用医薬品の使用に伴う危険性であった。これらの(問題のある)レジメンは男性の高齢者で多く(10%;95%CI,6.4%-13.7%)認められ,その半数が抗凝固薬を含んでいた。なお,(医療用医薬品の)併用禁忌は認められなかった。
[結論]
米国の地域社会の高齢者では一般に,医療用医薬品とそれ以外の医薬品を併用しており,25人に1人の割合で薬物相互作用を生じる潜在的危険性があった。
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