学問というのは、ただ難しい字を知って、わかりにくい昔の文章を読み、また和歌を楽しみ、詩を作る、といったような世の中での実用性のない学問を言っているのではない。
まず一生懸命にやるべきは、普通の生活に役に立つ実学である。
(「学問のすすめ 現代語訳 」福澤諭吉、斉藤孝現代語訳)
新人薬剤師向けの薬害教育のフォローを、毎年させていただいています。倫理感覚をたずさえながら仕事をしたら、もっと多くの学びがあるという願いを込めて。思えば20年くらい工夫を重ねてきたんですね。
今年のワークのタイムスケジュールをメモしておこうと思います。
目的)薬害を学ぶことで、薬剤師としての倫理感覚を自分のものにする
方法)
理解項目:(1)薬害と副作用の違い、(2)社会構造と薬害、(3)社会薬害と医療薬害
タイムスケジュール
9:35
・ワーク(1)(参加者が薬害について知っていることを1分でワークシートに書く)
・自己紹介(私は誰で、誰に、何を語るのか)
・薬害の事例
・薬害と社会構造
9:55
・ワーク(2)(「利益相反」の事例から、自分がどんな行動をするか?選択する)
・教養なんて(なぜもしドラは流行したのか?、社会的責任)
・Project Based Learning(Visionなきゴールの危うさ、なぜ理念があるのか?)
10:10
・ワーク(3)(ワーク(1)で書いたシートにさらに1分で追記する、となりの人に1分でシェアする)
・未来は未完だから(全員が関わる理由)
10:15
終了
40分という短い時間ですが、いつもあっという間に終了します。薬害という非常に重たいテーマで、原告や弁護士さんも参加されるのですが、「いい学びだった」と最後に笑顔をいただけるとうれしいですね。
いちばんは原告や被害に遭われた方々とお話をすること。人としてどうなのか、考えること。社会構造から薬害がおこるというロジックはあまりに明確すぎるので、知識伝達だけでは、学びになりませんし、人は動かないと思っています。
自分たちの生活や仕事のなかに、自分が加害者や被害者になることを現実に持ち込むこと。私たちの行動には、善悪というカラーも帯びている。善悪って何なのか。社会って、知るほどにわからなくなります。自分がどう行動すればいいのか?。
正解のあるワールドだけで過ごすのはもったいないですね。
気づき)
・テンションは高く、最初からワークです
・参加者の様子をみて、自己をシェアできる環境に調整
・薬害の知識、理解の本質を外さない
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