「解決」や「合意」をゴールとしないことで、
かえって、それに近づく可能性が高くなる
(『医療コンフリクト・マネジメント-メディエーションの理論と技法』より)
中西淑美先生(山形大)の医療メディエーターのフォローアップ研修会に参加しました。7時間の集中講義&ロールプレイ。20人の参加者にメディエーター3人と、本当に質の高い内容でした。ヘトヘトになりました。そして、感謝です。
私は、「感情コントロール」を1つのテーマにしています。コーチングがいいのか?、発達心理がいいのか?、またはカウンセリングがいいのか?、まだ見極めをしていません。一方、日常の業務では、医療事故の勝ち・負けの世界で仕事をしています。実は勝った方も満足感が低いwin-loseではなく、「本当は医療者はどうしたかったのか?」「患者さんは本当はどうしてほしかったのか?」協調すら見いだせるメディエーションの世界に一歩入り込んでいます。それは、「誰が」「どんなタイミング」「どんな内容」をというケーススタディの多様性です。
1.まず、信頼関係のスタンスをとる
おそらく、笑顔です。もしくは誠実に対応したいという中立のスタンス。これを姿勢、アイコンタクト、うなずき、相づち、そして沈黙で表します。これは、職員教育の面談でも、クレーム対応でも、決断させたい案件…いつでも、使える方法です。
2.質問ではなく、問い
本人には主張(position)があります。そして、本人にはニーズ(interest)があります。これを、言語化して、明確にしてあげます。本人が持っているposition→interestの言語化マネジメントです。これには、「小さなうなずき」などのミクロな奨励、Open Ended Question 開かれた質問(開いた質問ではなく、開かれた質問です)、言い換え(パラフレージング;単純な「繰り返し」や「反復」ではなく、話し手の語りのなかの重要なキーワードをとらえ、それを用いながら、自分の言葉で言い換える技法)、感情の反映(直接的感情反映「怒っておられるんですね」から、深層感情反映「本当に苦しんでおられるんですね」で次を乗り越える準備、相手のフレームで要約(サマライジング)などの方法があります。
3.背負わない、もの静かな姿勢
メディエーターの方々は、影を無くそうと思えばすーっと存在をなくすことができます。聞いてもらえている安心感がありますので、話し手はストーリーを持った回答で、充足感があり、情報の特性は不明確さがありますが、気づきの可能性が高まります。「問い」を投げかける側が、解決フレームを与えることはありません。少々心配になりますが、これはポートフォリオ教育でコーチングアプローチをすることと同じです。
人の「interest」は事実の語りのなかで、変化します。相手フレームは、お互いに信頼がないと、見えてきません。失敗もありますが、人が面白いことは確かですね。
気づき)私は、メディエーターではありません。興味をもたれた方は、きちんと「本物」に最初から触れた方がいいです。ステップとしては、1)まず「日本医療メディエーター協会」にアクセスする。講習会などがありますので、参加してしまう。2)テキストは、こちら。中西先生は新しいテキストも執筆中だとか。
「センスあるわねっ」と先生に肩をたたかれたので、引き続き、継続編も挑戦するつもりです。また、よろしくお願いいたします。
医療コンフリクト・マネジメント-メディエーションの理論と技法-
- 作者: 和田仁孝,中西淑美
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