「高齢者に対する適切な医療提供の指針」に関するパブリックコメントが、先月より募集中ですね。できたての指針(案)から、何が学べるでしょうか?
高齢者の医療について十分な知識がない人にこそ、この指針は学ぶことがありそうです。
この指針は、高齢者に対する適切な医療提供の全体が見え、引用論文をチェックすれば、さらに理解が深まります。医療従事者だけでなく、誰でもコメントができます。
高齢者に対する適切な医療提供の全体が見えます。本文は、たったの4ページ。しかも、この指針が作成された背景や主旨がすばらしいです。
「この指針は個々の疾患に対する診療ガイドラインに置き換わるものでは無いが、実際に治療する際に考慮するべき項目を示している。」「診療ガイドラインが高齢患者を対象としていない場合、またはガイドラインが相互に矛盾する内容を含む場合などには、本指針に示された基本的な考え方を準用して治療方針決定の一助とすることが推奨される。」(指針より引用)
また、引用論文をチェックしすれば、さらに理解が深められます。本文4ページに対して、引用文献111論文。
医療従事者だけでなく、コメントできます。よりよいものにするために、ぜひみなさんコメントを。〆切は、1/20までです。
気づき)老年医療の分厚いテキストで挫折するくらいなら、この指針ですね!
( ↓ 指針はこちらから、無料でダウンロードできます )
厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「高齢者に対する適切な医療提供に関する研究(H22-長寿-指定-009)」研究班「高齢者に対する適切な医療提供の指針」
<目次を俯瞰するだけでも、重点がわかりますね>
1.「高齢者の多病と多様性」
・高齢者の病態と生活機能、生活環境をすべて把握する。
2.「QOL 維持・向上を目指したケア」
・生活機能の保持、症状緩和などにより QOL の維持・向上を目指す。
3.「生活の場に則した医療提供」
・患者の QOL 維持に生活の場の問題は重要であり、適切な医療提供の場を選択する
・医療提供の場を変更する際に生じる問題を理解し、予防に努める
4.「高齢者に対する薬物療法の基本的な考え方」
・有害作用や服薬管理、優先順位に配慮した薬物療法を理解し、実践する。
5.「患者の意思決定を支援」
・意思決定支援の重要性を理解し、医療提供の方針に関して合意形成に努める。
6.「家族などの介護者もケアの対象に」
・家族を初めとした介護者の負担を理解し、早期に適切な介入を行う。
7.「患者本人の視点に立ったチーム医療」
・患者もチームの一員であることを理解し、患者本人の視点に立った多職種協働によるチーム医療を行う
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