本意を失わない「トレードオフ」

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「お前は今日はなんだか見知らない薔薇色の少女みたいだよ」
「知らないわ」彼女はまるで小娘のように顔を両手で隠した。
(「風立ちぬ」堀辰雄)

 転属先面接。
 本人たちの希望は、ほとんど受け入れられることはなく、組織の都合が提示されるのが、ふつうです。

 面接をくり返しながら、先日も、空席のない部署への希望がありました。「なぜ?」と理由を聞くと、意外な答えが返ってきた。「その業務も経験して、ひと通りできるようになっておくことが、私の役割だから」。その部署は、彼女が得意な分野でも、おそらく、特別な興味のある部署でもない。でも、ここで自分の役割を果たしたい、という熱意は、伝わってきた。

 社会に自分の能力を還そう。
 そういうスタッフに、私はチャンスを作ってあげたい。

 だから、彼女の転属先は、彼女の思い通りの部署にはしなかった。組織おける責任を自覚しながら、個人としてやりきろう、という決意に賛同していることを代わりに伝えた。そして、「薬剤師のひと通り」ができるよう、さらに、想定外の部署を提案した。そして、それは、組織にとっても、個人にとっても、快く受け入れられた。たぶん。

 戦略的決断とは、物事のトレードオフ(両立しないこと)を認め、何かを捨てることだと思う。それは、組織や個人の本意を捨てることではない。むしろ本意を選ぶということだ。本意のないオペレーションエクセレンス(業務の効率化)だけで、うまくいくはずはない。

気づき)毎回うまくいくわけではないけれど。モデルを認知しながら、トライなのです。






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