経験のなかにある「思考と課題解決の力」


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 先週、原稿依頼をいただきましたので、1200文字くらいで書ききってみました。そのまま週末に20分の講演依頼もあり、「事(こと)の膨大さ」を前に立ちくらみがしています。

 「新しいスタッフのために」という仮テーマで、いま私がみなさんに提供できるメッセージをまとめているところです。どこかでシェアさせていただければ、と思っております。

1.社会が低迷しても折れない心

 何のために働くのか。社会が低迷している今、考えるチャンスです。短期成果を褒めるなら未知のチャレンジをする人が減り、労働と給与の等価交換では、給料以上に働かなくなります。茂木健一郎さんのお話を伺う機会があり、「NHKプロフェッショナルの最終回で、何を伝えたいですか?」と尋ねたところ、「プロフェッショナルとは、結局、誰かのためにやろう!と思ったときに、最大のパワーを出せる人たちなんです!」とお返事をいただきました。人の尊厳のためにリスペクトして働けるとき、人はパワーがでるのです。簡単にいうと、誰かのために。

2.場と役割

 診療技術部長として、いくつもの職種の採用面接をさせていただいています。どんなスタッフと働きたいか、いまのスタッフにどうなってほしいか、悩みます。ある分野をものすごく知っている「コンテンツ・エキスパート」は、まず基本。さらにチームの雰囲気を作ったり、相談にのったり、スピードを速めることも、スローな対応もできるようなチームにドライブをかけられる「プロセス・コンサルタント」も必要です。

 職場とは、登場人物と役割を意識しながら即興劇をしている「場」です。半分くらいは予定通りだけど、半分は何が起こるか、わからない。このぐらいの構えがちょうどいい。動的な学びを歓迎する姿勢が必要で、何をいいだすのかわからない他人は、自己にとって財産で、チームが多様性を受け入れたとき、ぐっと成長します。

3.自己の経験を俯瞰して、見えてくる「価値」

 一方で、学生実習や新人教育のなかで、課題からゴールを設定することは、意外に難しい。課題もゴールも、たいていは、与えられてきたからです。一見、本人が作ったよく見えるゴールでも、途中で投げ出すこともある。自己満足だけでは、本当のゴールにならない証拠です。自己満足に社会貢献の役割が重なると、必然性がでてくる。社会貢献が大げさなら、自分の病院、自分の病棟、あの患者さんに、でもいい。そうして決めたゴールについて、学びをログ(記録)して、シェアをする。このときに、自己の経験が俯瞰されて、自分の価値が見えてくる。自分の価値基準(コアバリュー)をつかんだら、あとは、大丈夫です。

4.スタッフ全員に関わりを求めたい理由

 医学・教育分野ですでに導入されつつあるプロジェクト学習(Project Based Learning)の勉強と実践を重ね、いまは教育シンクタンクのネットワークメンバーとして、お手伝いをさせていただいています。薬学生は、文科省が定めた専門カリキュラムに加え、自分がどうなりたいのか、語るようになりました。自己の変化を表現できる看護学生は、臨床薬理のテスト問題で高成績になる経験もしました。学びとは、知識の移動ではなく、自分の考えや「パースペクティブ(視座)」を解きほぐしてもらう機会だな、と感じています。

 未来はつねに、未完です。ですから、スタッフ全員のそれぞれの視座で、課題を見つけ、「こうなったらいいな」という実践をはじめたときに、きっといい医療が作れるのだろうな、と期待しています。

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