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 厚労省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)では、アシネトバクター・バウマニ分離株において、2008 年には0.24%(34/14,755)、2009 年には 0.19%(32/16,929(速報値))に多剤耐性株。先週より、指定された定点病院では報告が義務化されました。

帝京大学病院の多剤耐性アシネトバクターの感染拡大について、外部調査の報告書が公開されています。

平成22年7月30日(金)に開催された調査委員会の外部委員報告書

http://www.teikyo-u.ac.jp/hospital/newsandtopics/20100908.html

数ページに渡る文書ですが、「問題点の検討」教訓を学ぶために、文書を転載します。

(まとめ)

 ・感染制御部と病院全体の連携不足(以下の1.2.3)

 ・感染制御部の体制不足(以下の4,5)

 ・病院の管理体制の甘さ(以下の6)

E 多剤耐性アシネトバクター感染拡大に至った問題点の検討

1.細菌検査室では平成21年年8月に初めて多剤耐性アシネトバクターを分離し、また、その後、感染制御部が翌年2月に臨床側から情報を得るまで14例で多剤耐性アシネトバクターが分離されていたが、その情報が感染制御部に伝達されていなかった為に、感染拡大に繋がった可能性がある。

2.細菌検査室情報が感染制御部に伝わらなかったのは、多剤耐性アシネトバクターの定義がまだ国際的に完全に確立していない点は勘案されるものの、多剤耐性アシネトバクターが検出されたときの対応方法を、感染制御部を含め病院として明確にしていなかったことが主因と考えられ、病院のシステムエラーと言える。構造的に横の連携・情報共有に欠陥があったと思われる。

3.2009年8月から翌年2月迄の間、ICTが病棟ラウンドを行っていたが、担当医からICTに多剤耐性アシネトバクターに関する質問や情報が寄せられていない。ここにも横の連携・情報共有に欠陥が見られ、発見の遅れの一因となっている。

4.平成22年4月に、感染制御部は複数例のMRAB検出を確認しているものの、全容を完全に把握できていない。さらに、平成22年5月の時点では感染制御部は事態をほぼ把握している時期であるにもかかわらず、平成22年~6月頃まで院内伝播が多発し、感染拡大が抑えられていない。感染制御部のマンパワー(情報収集能力、対策実践能力)にも限界があったのではないか。結果的に、病棟における標準予防策、接触感染予防策の遵守が不十分のまま推移し、感染が拡大したと思われる。感染制御部に専従看護師1名が初めて配属されたのが平成22年5月であり、感染が拡大した平成22年4月の時点で感染制御部に専従職員を全く配置していなかったことに対する病院の責務はきわめて大きいと思われる。

5.平成22年4月に感染が拡大した時期に、細菌検査室の責任者が不在であったことが、結果的に感染制御部への情報伝達遅延の一因となった可能性が指摘されている。これは特定の個人の責任ではなく、一人が欠けても機能が麻痺しないようなリスクマネジメント体制を取っていなかった病院側の責任であり、人材育成を十分に行ってこなかった可能性がある。

6.病院長を主体とした危機管理体制が十分に機能していない。その結果、新規入院制限、病棟閉鎖、消毒、患者コホート等が迅速に実施できず、感染拡大を招いた可能性が高い。

気づき)

 ・警察介入に反対する声明ももちろん大切ですが、自分の病院はどうか?教訓としたいところです

これから)

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カテゴリー: Infection

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