院外非外傷性心肺停止時の静注薬剤は、生存率を改善しない

 エピネフリンEpinephrineは、院外非外傷性心肺停止時の生存率に差違のないことが示された。

Intravenous Drug Administration During Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Randomized Trial

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JAMA. 2009;302(20):2222-2229.

背景:静脈ルートの確保と薬剤の投与は、アウトカムを改善する根拠が欠けているにも関わらず、advanced cardiac life support (ACLS)のガイドラインに記載されている。エピネフリンEpinephrineは、大規模な疫学研究で不十分なアウトカムの独立的な予測因子となっており、これはおそらく、薬剤の毒性によるものと、静脈ラインの確保と薬剤の投与後に、心肺蘇生cardiopulmonary resuscitation (CPR)の中断によるものであろう。

目的:ACLSの手順による静脈からの薬剤投与を中止することは、院外心肺停止後に、退院できる生存率を改善するのか、判断すること。

デザイン、セッティングと患者:2003年5月1日から2008年4月28日までに、ノルウェーのオスロの救急医療システムで、成人の非外傷性の院外心停止患者を対象とした前向きランダム化比較試験。

介入:薬剤の静脈投与をする、もしくは投与をしない場合の高次的救命救急

メインアウトカム:第一のアウトカムは退院につながる生存率。第二のアウトカムは1年後の生存率、神経学的に望ましい状態、継続的な入退院の繰り返し、そして心肺蘇生の質 (chest compression rate, pauses, and ventilation rate)をふまえた生存。

結果:蘇生が施された1,183名のうち、851名が試験に参加した;418名が薬剤を投与してACLSを行い、433名は薬剤を投与しないでACLSを行った群であった。退院ができた患者の生存率は、薬剤の投与群で10.5%、非投与群で9.2%で(P = .61)、入退院の繰り返しは32%と21%(P<.001)、神経学的に望ましいアウトカムでの生存は9.8% と 8.1% (P = .45) 、1年後の生存率は10% と 8% (P = .53)であった。心肺蘇生による質は、両群ともガイドラインで推奨できる範囲であった。公共の場で、ventricular fibrillation, response interval, witnessed arrest, or arrestで補正をすると、薬剤の投与群と非投与群で有意差はなかった (adjusted odds ratio, 1.15; 95% confidence interval, 0.69-1.91)。

結論:院外心肺停止で静注で薬剤を投与しないでACLSを受けた患者と比較して、静注で薬剤の投与を受けた患者は、短期生存率は高かったものの、退院できる生存率、CPRの質や長期生存率については、有意差はなかった。

これから)薬局長会議@千駄ケ谷

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