東京のドヤ街・山谷でホスピス始めました。―「きぼうのいえ」の無謀な試み


「死とは肉体を必要としなくなった生き方の一つの姿なのだと思いたい。」

 神学部で学ばれた施設長と、看護師の奥様。

 山谷(さんや)のホスピス。長野あたりの自然豊かな地にあるホスピスかと思いきや、都会にある行き場のない方々のべらんめえホスピスだった。安く寝泊まりができる街SANYAは、海外でも有名らしい。

 きぼうのいえは、身寄りのない人、行き場のない人が入居しているのが、一番の特徴だ。

 法的に「宿泊所」とは、聞き慣れぬ施設名だが、社会福祉法の第二条第三項第八号で、「宿泊所を開設する人や団体の目的や裁量にゆだねられている」らしい。

 妹さんは、困ったように照れ笑いしながら、泣きつづけていた。

「兄は、父ちゃんも母ちゃんも知らなくて、家庭とか温かいものに触れないまま死んでいくんだと思ってましたけど、よっかったです。ほんとうによかったです。こんな風に死ねて、よかったです。ありがとうございました。」

 ほんの小さなつまずきで人生を棒に振ってしまうような罠が、この社会にはいくつも張り巡らされている。

「クリスマスにイエス様は馬小屋でお生まれになりましたが、みなさんのなかに、まさ馬小屋で生まれたひとなんかいませんよね」と訪ねると、戦災孤児として育った柴田正昭さんが、「わたしは馬小屋では生まれませんでしたが、犬小屋で育ちました」と、すかさず切り返す」

聖書を朗読して、「みなさんは罪深いことをしましたか」と聞けば、「数えきれないくらい!」というこたえが返ってくる。

 厚生労働省の緩和ケアプログラムの協力病院ということで、緩和ケアに関する100冊が病院に進呈された。図書室でやっとこの100冊が公開されるようになり(ただし、貸し出し禁止!)、せっかくなので100冊制覇しよう。

*厚生労働省の緩和ケアプログラム、のこり99冊。

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