インフルエンザ菌b型ワクチン(Hibワクチン)

 時に致死的で、重い後遺症をのこすことがある細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)。インフルエンザ菌b型は小児期に発症する細菌性髄膜炎の原因菌として常に首位。

 米国では、定期接種により5歳未満人口10万人あたり年間25人の髄膜炎発症数が、ほぼ0になった。国内では、年間500人から600人の子どもが細菌性髄膜炎に罹患。ワクチンの副作用は、しこり、発赤、発熱等。

 コクランの評価(2007年4月最終)は?

・6論文と、4つのメタ分析を評価した結果は、安全かつ効果的であった。

・侵襲的なHib感染のRR0.20(95%CI0.07 to 0.54)に減少する。しかし、死亡率には有意差はなく1.01 (95% CI 0.38 to 2.67)、評価した論文に不均質性があった。

・RR2.0という非常に高い有効性。死亡率は、先進国で患者を限定した条件なら、有意差がでるか?

・副作用は、市販後評価も含めて、慎重に確認をしておきたい。

Conjugate vaccines for preventing Haemophilus influenzae type B infections

Cochrane Database of Systematic Reviews

【背景】インフルエンザ菌(H. influenzae)は、小児で発生する髄膜炎と肺炎の重要な原因である。ワクチンの費用は、低所得国では、重大な障壁となっている。ワクチンの接種の効果の大きさを決定することにより、低所得国において無償化に匹敵するような費用対効果の検討ができるようになるだろう。

【目的】

1. 5歳以下の小児におけるHib疾患または死亡の原因とを予防する共役Hibワクチンの影響を検討する。

2. 投与回数、初回投与の年齢、すでにHIV感染症とわかっている子どもへの投与、もしくは、高所得国と低所得国において、などのさまざまな状況におけるそれぞれのワクチンの効果を検討する。

3.あらゆる深刻な不副作用を検討する。

【調査基準】 The Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) (The Cochrane Library, Issue 4, 2006); MEDLINE (1966年1月から、2006年12月まで); EMBASE (1990 to June 2006) 、スキャンされた文献リスト、および臨床報告の筆者の連絡先リストを参考とした。報告書は、すべての言語で調査をした。

【選択基準】すくなくとも2歳までは追跡調査がされた子どもにおける、インフルエンザ菌b型ワクチンとプラセボ、もしくは無治療とを比較した、すべての無作為化比較試験(RCTs)、もしくはquasi-RCTsを選択の基準とした。

【データの収集と分析】2名の独立した調査者がそれぞれに、適正な研究を選び、データの抽出をおこなった。

【おもな結果】6つの総説と、4つのメタ分析が選ばれた。試験の全体的な品質は、良好だった。侵襲的なHib疾患の相対危険度は、 0.20 ( 95 %信頼区間 0.07~0.54 ;変量効果モデル)であったが、統計的な有意差が説明できない変化(不均質性)が、メタ分析のなかで、4つの臨床試験にあった( p = 0.002 )。効果の大きさは、ワクチンのタイプの違いや、投与量、初回接種時の年齢や、高所得国と低所得国によって違いはみられなかったが、効果をみつもった信頼区間は広かった。Hibに関連した死亡のデータは、効果について有意ではないことを示した(相対リスクは0.29 ; 95 % 信頼区間 0.07~1.20 ;変量効果モデル)。すべての原因を含めた死亡率の相対的リスクのは、2つの臨床試験で、それぞれ1.01 ( 95 % 信頼区間 0.38~2.67まで、変量効果モデル)と0.97だった。どの試験からも、深刻な副作用は報告されなかった。

【結論】Hibワクチンは、安全かつ効果的である。資源に乏しいの状況で、ワクチン接種を決定することは、そのコストと、その地域でのHib疾患の重要度と、競合する優先順位による。

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