死ぬかもしれない薬を使うか?

 17年前の論文だが、当時は驚いた。定量噴霧型のβ刺激剤で、死亡が2.6倍。

 2000年に訪ねたカナダのサスカチュワンはとても静かで温厚な街。壮大な自然のなかに、ぽつんとできた人工的な大都市。カナダの薬剤師会が作成している医薬品集も定評があり、サスカチュワンの健康保険データベースがあってこそ、作成できた論文。

The use of beta-agonists and the risk of death and near death from asthma.

N Engl J Med. 1992 Feb 20;326(8):560-1.

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[背景]喘息の有病率と死亡率が増加傾向にあり、喘息を治療する薬の使い方がこの傾向に影響しているのではないか、と議論されている。喘息による死亡と瀕死と、β2刺激気管支拡張剤beta 2-agonist bronchodilatorsとの関係を調査した。

[方法]カナダのサスカチュワンSaskatchewanの健康保険データベースを使用して、1978~1987年に喘息治療薬を処方された12,301名の患者のコホートから、症例対照研究を実施した。住所、年齢、社会保険のレセプトと喘息による入院歴で、125名の致死的、もしくは瀕死の喘息患者に対して、655名の比較患者(致死的、もしくは瀕死ではなく喘息治療薬を処方されている)を比較群としてマッチさせた。

[結果]MDI(定量噴霧型の吸入器)によるβ刺激剤の使用は、喘息による死亡のリスクと関連しており(odds ratio, 2.6 per canister per month; 95 percent confidence interval, 1.7 to 3.9) 、near deathを含めても(odds ratio, 1.9; 95 percent confidence interval, 1.6 to 2.4)であった。

 喘息による死亡は、β刺激薬のフェノテロールfenoterolが5.4%、β刺激剤のアルブテロールalbuterolが、2.4%であった。

[結論]

 喘息による死亡と瀕死の増加は、β刺激性の気管支拡張剤の定期的な吸入と関連しており、とくにフェノテロールfenoterolが関連していた。β刺激剤が直接の副作用を引き起こしているのかに関わらず、喘息の重症化で、これらの薬剤の使いすぎには、患者の状況に応じて必要性を医療従事者に警告すべきである。

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カテゴリー: Diary

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