腸炎熱にフルオロキノロン

 チフスは経口感染なので、生活衛生面で公共整備が不十分な国でワクチン接種が課題。そしてチフス熱(腸炎熱)の再発予防には、フルオロキノロンらしい。

A comparison of fluoroquinolones versus other antibiotics for treating enteric fever: meta-analysis

BMJ 2009;338:b1865

*チフスは、3類感染症(腸チフスtyphoid fever、パラチフスparatyphoid fever)、4類感染症の発疹チフスtyphusに分類

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目的:腸チフスやパラチフスなどの腸炎熱の治療に、他の抗菌剤ではなくフルオロキノロンを第一選択として処方することを支持するエビデンスの評価

デザイン:ランダム化比較試験のメタ分析

データ:Cochrane Infectious Diseases Group specialised register, CENTRAL (issue 4, 2007), Medline (1966-2007), Embase (1974-2007), LILACS (1982-2007), selected conferences, reference lists, and ongoing trial register (November 2007).

評価方法:培養された腸炎熱でクロラムフェニコール、セファロスポリン、アジスロマイシンを併用したフルオロキノロンの比較も含めた。2人の評価者がデータを抽出し方法の質を評価した。オッズ比は95%信頼区間で評価した。小児が60%以上含まれる試験は、成人の試験とは別に解析された。プライマリアウトカムは、臨床症状の消失、微生物学的な菌の消失と再発とした。

結果:

・20試験が該当した。試験は小規模で、いくつかは限定的な方法の質であった。10の試験だけが、割り付けが隠蔽され、3試験だけがブラインドされていた。

・成人の試験では、フルオロキノロンは、クロラムフェニコールとの比較で、臨床的な失敗(n=594)、もしくは微生物学的な失敗 (n=378)で有意差はなかったが、臨床的な再発は減少させた (odds ratio 0.14 (95%信頼区間0.04 to 0.50), n=467, 6 trials).

・アジスロマイシンとフルオロキノロンは同等であった(n=152, 2 trials)

・セフトリアキソンと比較して、フルオロキノロンは、臨床症状の消失で有意差があったが(0.08 (0.01 to 0.45), n=120, 3 trials) 、微生物学的な消失と再発では有意差はなかった。

・セフィキシムと比較して、フルオロキノロンは臨床症状の消失(0.05 (0.01 to 0.24), n=238, 2 trials) と再発は(0.18 (0.03 to 0.91), n=218, 2 trials)有意差があった。

・ナリジクス酸耐性株に感染をした小児の試験では、古いフルオロキノロン(オフロキサシン)は、アジスロマイシンよりも、臨床症状の消失がより発生していたが (2.67 (1.16 to 6.11), n=125, 1 trial), 他の新しいフルオロキノロンではみられなかった (ガチフロキサシン, n=285, 1 trial).フルオロキノロンとセフィキシムは、統計学的な違いはなかった。(n=82, 1 trial)

結論:成人では、フルオロキノロンは、臨床上の再発の予防にはよいかもしれない。とくに小児において、他の薬剤と比較するデータに限界があった。

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