ビスフォスフォネートを中止してもいいタイミングは?

 ビスホスホネートを5年間服用後、投与を中止しても骨折率は増加しないらしい。

JAMA, December 27, 2006; 296: 2927 – 2938.

Effects of Continuing or Stopping Alendronate After 5 Years of Treatment: The Fracture Intervention Trial Long-term Extension (FLEX): A Randomized Trial

【背景】 閉経後骨粗鬆症の女性における最適な治療期間は、不明である。

【目的】 アレンドロネートalendronateで5年間治療したのちに中止した場合と、10年間継続した場合の効果を比較すること

【方法】

・骨折介入試験(FIT;Fracture Intervention Trial)に参加した米国の10の臨床機関で管理された無作為化、ダブルブラインド試験

・アレンドロネートの前治療が平均5年間で、FITのアレンドロネートに割り付けられた10,099名の閉経後女性

・アレンドロネートを無作為に、1日5mg(n=329)、1日10mg(n=333)、とプラセボ(n=437)で5年間(1998-2003年)

・主要アウトカム評価指標は大腿骨近位部の骨密度、2次評価指標は、他の部位の骨密度と骨の再構築を示す生化学的マーカーを測定、予備的な評価指標として骨折の発生率も調べた。

【結果】

 アレンドロネートを継続した場合と比較して、大腿骨近位部の骨密度の平均は、5年間のプラセボへの切り替えで(-2.4%:95%信頼区間-2.9~-1.8%;p<0.01)と脊柱(-3.7%:95%信頼区間-4.5~-3.0%;p<0.01)と低下したが、10年前の治療開始前と同じ、またはそれ以上を維持した。同様に、中断群では血清中の骨代謝マーカー値は治療群に比べ、55.6%(1型コラーゲンC-テロペプチド:1CTP)、59.5%(1型コラーゲンN末プロペプチド:pro N)、28.1%(骨特異的アルカリホスファターゼ)などと有意に上昇していたが、治療開始前の10年前(FIT試験開始時点)よりも低い値を維持していた。5年間の非脊椎骨折の累積発生率は、治療群で19%、中断群では18.5%で、リスクに有意差はなかった(RR=1.00)。臨床症状が認められる脊椎の骨折リスクは、治療群で有意に低かった(中断群5.3%、治療群2.4%、相対リスクは0.45)。しかし、形態的な脊椎の骨折には、有意な減少は見られなかった(中断群11.3%、治療群9.8%、相対リスク0.86)。18のtransilialな骨生検では、すべての検体で骨代謝(double labeling)がみられ、本質的な異常は確認できなかった。

【結論】

 5年間のアレンドロネート治療後、使用を中止した女性の骨密度はゆるやかに減少し、生化学的マーカー値は徐々に上昇したが、治療継続群に比べ、臨床症状のある脊椎骨折以外に、骨折リスクは高くならなかった。これらの結果から、多くの女性では、5年間服用後中止をしても、有意な骨折率の増加はみられないと思われる。しかしながら、臨床症状のある脊椎骨折のリスクがとても高い女性には、さらに5年間の継続が望まれる。

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・この薬を「もう止めてもいい」というラインはどの辺にあるのか?

・こういう結果が、きちんと論文になることはめずらしい(評価できる)

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